2011年2月26日土曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(4)

伊高先生からの最新のお便りです。

我がPB船は2月23日、パナマ運河を通過した。1972年に初めてこの運河を取材した際、パナマ船で通航してから7回は運河を通り抜けたと思う。いま、第3閘門水路を建設中で、大規模な土木工事の様子を太平洋側の運河出入り口付近で見ることができた。1914年にパナマ運河が開通したころ、ここを通れない大型船はなかった。だが20世紀後半、パナマックス(パナマ運河通航可能最大船舶)を超える旅客船、タンカー、軍艦などが増え、それらの船舶は南米南端のホーン岬回りを余儀なくされてきた。第3水路は、新しいパナマックスを設定することになる。

パナマ運河は、ほかにも挑戦を受けている。北極海の氷盤が解けつつあり、大型船の通航が可能になれば、北半球の欧米航路、亜欧米航路は大幅に短縮され、パナマ運河とスエズ運河の重要性は減ってしまう。また、パナマの近隣のニカラグアとコロンビアには道路、鉄道、港湾開発と絡めた運河建設構想があり、これらが実現する方向に動けば、パナマ運河には脅威となる。

第3水路は、現行運河開通100周年の2014年に開通する計画だが、それは、運河の命運をかけた至上命令なのだ。

船は、24日カリブ海側のコロン市サンクリストバル港を離れ、25日、コロンビアのカルタヘーナ港に入る。そして28日には、トゥリニダーダトバゴ(TT)のポートオブスペインに入港するが、現地の日本大使館には、昨秋までラ米研受講生だった安間美香さんが専門調査員として務めている。再会が楽しみだ。2011・02・25

カリブ海航行中の船上にて サルバドール

2011年2月21日月曜日

波路はるかに~伊高浩昭先生の船上便り(3)

 2月17-18両日、ペルーの首都リマの港カヤオ、リマ市、その南方郊外の新興都市ビジャ・エルサルバドール(VES)に滞在した。ペルーの海岸地方は、フンボルト寒流が雨雲をつくらないため、一年を通じて雨がほとんど降らない。だから砂漠が帯のように続いている。今年は「ラ・ニーニャ現象」で寒流がとりわけ冷たく、異常気象が広がっている。


 海岸地帯には、過去50-60年の間にアンデス高地から先住民族やその混血民族が新生活を求めて下り、一連の「新しい街(プエブロス・ホベネス)」をつくって定住した。VESはその一つで、1971年、今からちょうど40年前に人々が住み着いて始まった。

 私が1980年代後半に訪れたときには、砂漠が街を支配していた。90年代もそうだった。だが今回見た街は、発展し、人口も50万人に膨らんでいた。しかし貧困が視界から消えたわけではなく、市街地から離れた周辺地帯には以前と変わらない砂漠状況があった。この訪問記は、ラティーナ誌5月号(4月20日出版)に掲載される。機会あれば、ご覧いただきたい。

 わがオセアニック号は、再びエクアドール(赤道国)沖で赤道を越え、北半球に戻って、やがてパナマ運河に入る。昨夜は、「パナマ運河の歴史と現代」という講座を開いた。ではまた、

2011年2月20日 ペルー北部沖にて サルバドール

2011年2月19日土曜日

メキシコ歴史文化講演会『メキシコ独立200周年・革命100周年記念講演会』

■第18回メキシコ歴史文化講演会『メキシコ独立200周年・革命100周年記念講演会』
主催:メキシコ・日本アミ-ゴ会

 2010年はメキシコの独立200周年・革命100周年に当りました。また、メキシコ・日本アミーゴ会創立10周年でもありました。
 メキシコ・日本アミ-ゴ会はこれらの記念行事の一つとして、メキシコの独立・革命時代の歴史・背景・問題点などについて理解をさらに深めるため、同時代に関わる専門研究者による3回シリ-ズの講演会を企画しました。

★第18-1回講演会: 
講演課題:「スペインからの独立と社会革命によって形成された メキシコ近現代史を思索する」 
講師:国本伊代 中央大学名誉教授(メキシコ近現代史専攻) 
講演概要:2010年はメキシコにとって、独立運動開始200周年とメキシコ革命勃発100周年を記念する特別な年であった。カルデロン大統領が高らかに宣言したように、スペインからの独立はメキシコ人に祖国を与えた。人口の10%を失うという血みどろな動乱を経て成立した革命政権は、公正で平等な社会の建設を目指した。このメキシコ近現代史の基軸と方向性について、2010年に視点を据えたメキシコ史観を語る。
 
日時:3月4日(金)18:00~20:00 
場所:東京外語大本郷サテライト5階セミナ-室 文京区本郷2-14-10  ・東京メトロ本郷三丁目駅から徒歩5分    ・JRお茶の水駅から徒歩10分     

http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html

※先着順40名様まで
参加費:会員1000円      一般1500円     学生 500円 
【お問合せ先】 メキシコ・日本アミーゴ会事務局
http://www.mex-jpn-amigo.org/

【今後の講演会の予定】

★第18-2回講演会: 講演課題:「悲劇のメキシコ皇帝マクシミリアン」(仮題) 講師:菊池 良正 明治大学教授(オ-ストリア文学専攻) 日時:4月後半か5月連休明け

★第18-3回講演会: 講演課題:「メキシコ革命時代の先住民」(仮題) 講師:山崎 真次 早稲田大学教授(メキシコ民族学専攻) 日時:8月

アルゼンチン人写真家パウラ・エレラの個展

■アルゼンチン人写真家パウラ・エレラの個展
「…原始的な演劇のように、生きている絵画のように、写真の動かない面の裏に死が見える…」
会期:2月21日(月)~26日(土)13:00-20:00
会場:森岡書店ギャラリー(東西線・茅場町3番出口)
中央区日本橋茅場町2-17-1 第2井上ビル303   
tel.3249-3456入場無料

2011年2月9日水曜日

トランスナショナルな「日系人」の教育・言語・文化―過去から未来に向かって―

3月5日(土)、6日(日)に早稲田大学で日系人の教育・言語・文化に関する国際会議が開催されます。詳細は以下のリンク先をご覧ください。
http://www.f.waseda.jp/toyotomi/Morimotolabwebkenkyunaiyo.html

2011年2月5日土曜日

フィデル・カストロ~みずから語る革命家人生、イグナシオ・ラモネ著、伊高浩昭訳


http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/024659+/top.html

伊高先生から下記のお便りが届きましたので、掲載します。


◎世に出たカストロ訳本

 イグナシオ・ラモネ著、伊高浩昭訳『フィデル・カストロ~みずから語る革命家人生』が2月3日、岩波書店から刊行された。上下2巻の大部である。翻訳時の苦労話は「訳者あとがき」に記したが、翻訳が決まってから出版されるまで4年がかりの一仕事だった。私は船旅の途上にあって、この新刊書を見ていない。4月初め、桜花爛漫のころ手にすることになる。思えば、ラテンアメリカ情勢に取り組んで44年、その間、フィデルは一貫して最高指導者ないし、それに順ずる地位にありつづけてきた。つねにラ米情勢の中心を占め、強迫観念のように私の脳裏を占めていた。その思いを「あとがき」に、「カストロとの長い格闘を終えて」として綴った。

 さて、私が身を置くNGOピースボートは、あす5日、タヒチの首都パペーテに着く。横浜を出航してから1万海里、2週間の無寄港航海だった。

 6日には、ペルーのカヤオ港に向けて新たな10日間の海の長旅に出る。いよいよ向かうは我がラ米であり、船上講師の活動も倍加する。

ではまた、


2011年2月4日、オセアニック号にて、
サルバドール

2011年2月4日金曜日

世界の街道を行く  アルゼンチン編

在京アルゼンチン大使館より、テレビ放送のお知らせをいただきました。
「テレビ朝日 世界の街道を行く アルゼンチン編」です。

放映日:2月1日から2月28日まで土日を除いて20回  20時54分-21時
放送局:テレビ朝日 (地上波は10チャンネル、地上波デジタルは5チャンネル)
番組 : 「世界の街道をゆく!」
番組ウェブサイト: http://www.tv-asahi.co.jp/road/notice/index.html

様々な歴史を刻んできた世界各地の街道を訪れ、そこで出会う人々の営みや自然の魅力的な表情を、スチールとムービーを融合した、新しい表現で映像化していく紀行番組です。

世界第8位という広大な領有面積を誇るアルゼンチン。その国土の25%をパンパと呼ばれる草原が占めています。
しかし、南北にのびるこの国の街道をゆけば、美しい草原だけではなく、沼沢、森林、塩田と、雄大な国が持つ大自然の豊かな表情がどこまでも広がっていきます。 

番組では、首都・ブエノスアイレスから出発し、「母を尋ねて三千里」のマルコ少年が辿ったアンデスに続く道を巡り、トゥクマンまで旅します。北部の世界遺産「ウマワカ渓谷」、サルタ州もご紹介します。
是非、ご覧下さい。

アンデスの染織展

アンデスの染織展のお知らせです。

現在のペルーからボリビア北部にかけて栄えたアンデス文明。織物や編物、染物など多様な染織文化を育んだことで知られる。良質な木綿、リャマやアルパカなどの獣毛に恵まれ、領土各地にあった豊富な染料のおかげだ。鳥や魚といった身近な動物や、独特な表情の神像など豊かな文様表現も見どころの一つ。展示では紀元前1000年に遡るチャビン文化から16世紀のインカ文明まで、2500年にわたる優れたアンデスの染織を紹介している。

会期:2011年1月27日(木)~3月14日(月)
開館時間:10:00~16:30  (2月4日(金)、2月18日(金)は19時まで開館)
*入館は閉館の30分前まで休館日/日曜日・祝日(2月27日は開館)
場所:文化学園服飾博物館(東京・新宿南口)
入館料: 一般500円、大高生300円、小中生200円 
※ギャラリートーク/2月19日(土)、3月5日(土) 各回13:30~(先着30名)

http://www.bunka.ac.jp/museum/text/kaisaichu.html