言葉を奪われた時代── 彼女はただ、名を呼びつづけた。
2024年製作 ブラジル・フランス
第97回アカデミー賞 <国際長編映画賞>受賞!
第97回アカデミー賞 3 部門ノミネート(作品賞・主演女優賞・国際長編映画賞)
第81回ヴェネツィア国際映画祭 最優秀脚本賞受賞
第82回ゴールデングローブ賞 主演女優賞受賞
名匠ウォルター・サレスが、16年ぶりに祖国ブラジルにカメラを向けた本作は、軍事独裁政権下で消息を絶ったルーベンス・パイヴァと、夫の行方を追い続けた妻エウニセの実話に基づいている。サレス自身、幼少期にパイヴァ家と親交を持ち、この記憶を、喪失と沈黙をめぐる私的な問いとして丁寧に掘り起こした。自由を奪われ、言葉を封じられても、彼女は声をあげることをやめなかった。サレスは、理不尽な時代に抗い続けたひとりの女性の姿を、美しくも力強い映像で永遠の記憶として刻みつける。
主演はサレス作品の常連で名優フェルナンダ・トーレス。老年期のエウニセを演じるのは実の母であり『セントラル・ステーション』でブラジル人初のアカデミー主演女優賞候補となったフェルナンダ・モンテネグロ。母と娘、ふたりの女優が、記憶と時代、そして命の継承を映し出す。