2013年11月15日金曜日

国際シンポジウム 『知覚のプラトー――映像生態学の構築をめざして』

立教大学新座キャンパスでの国際シンポジウムのお知らせです。ブラジルからの講演者がいらっしゃるとのことで掲載いたします。
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日時 第1回 12月14日(土)15日(日) 13:00~19:00
第2回 12月27日(金)28日(土) 13:00~19:00 
場所 第1回 新座キャンパス6号館 N623教室(ロフト1)
第2回 新座キャンパス6号館 N636教室(ロフト2)
入場無料・予約不要・通訳あり 

内容 新しい技術によるメディア、映像が人間をとりまく環境の重要なファクターになっている現代において、身体、知覚に何が起きているか、身体と生のイメージがどのように変容しているか探求することは、人文諸学のみならず、芸術表現にとっても大きな課題である。このシンポジウムではこの課題にとって大きな問題提起を行なったドゥルーズ=ガタリの身体論、映像論を核として、〈映像生態学〉的研究の新たな方向を模索しようとする。いたるところで知覚の戦争といったものが繰り広げられている。知覚の領界を拡大し、新しく編成する様々な技術や装置が発達する一方で、知覚における「マイナーへの生成変化」があり、これは視覚に触覚を注入し、あらゆる種類の知覚しがたい身体と、身体の新しいタイプの結合・分離を生み出している。これに呼応して、様々なタイプの生命性や身体性が見え隠れする。また芸術、メディア、テクノロジー、政治など異なる次元のいたるところに、「器官なき身体」の例さえも生み出されているのである。
ドゥルーズおよびガタリの著書『千のプラトー』そして『時間イメージ』はこのような問題をめぐる新たな実践や思索にとって、すでに多くの豊かな発想と概念をもたらしてきた。このシンポジウムは、ブラジル、カナダ、イタリア、日本から参加する研究者やアーチストが、あらためてこれに遭遇し、実験する機会である。
担当・総合司会 宇野邦一(現代心理学部 映像身体学科教授) 
プログラム 第1回
12月14日(土)
13:00-13:40 問題提起/宇野邦一(現代心理学部)
13:40-16:40 映像上映+Laura U Marks 「知覚と平滑空間、映画とイスラム芸術の出会い」
16:40-19:00 Christine Greiner「芸術におけるディアスポーラ」
12月15日(日)
13:00-14:00 田中泯(舞踊家)/ダンスパフォーマンス
14:15-15:15 Peter Pál Pelbart「生政治学とニヒリズム」
15:15-16:15 田崎英明(現代心理学部)
16:30-19:00 全体討議
第2回
12月27日(金)
13:00-15:15 Peter Pál Pelbart「フェルナン・ドリニーの方法」
15:15-16:15 香山リカ(現代心理学部)
16:15-18:15 Brian Massumi「潜在性と対面すること」
18:30-   諏訪敦彦/「黒髪」「ヴィデオシナリオ ヒロシマ/私の愛する人…」上映
12月28日(土)
13:00-13:30 ストローブ監督作品『おお至高の光』と『ジャッカルとアラブ人』上映
13:30-15:30 Girogio Passeorne「ダンテ、ストローブ、ドゥルーズ」
15:45-16:45 諏訪敦彦/講演
16:45-17:45 江川隆男(首都大学東京・助教)
18:00-19:00 全体討議

講師 ローラ・U=マークス(Laura U Marks) :カナダ,Simon Fraser University/ Visual Culture and Performance Studies教授 。Touch (University of Minessota Press), The skin of film (Duke University Press), Enfoldment and Infinity: An Islamic Genealogy of New Media Art (MIT Press)などの著書があり、映像表現を触覚的次元という面から探求しながら、近年はその成果をイスラム哲学と結びつけている。
クリスチーネ・グライナー(Christine Greiner): ブラジル、サンパウロカトリック大学記号学部教授。身体論や身体表現を主な研究領域にしており、『舞踏――進化の一つの思想』(1998)、『能と西洋』(2000)、『身体 —学際的研究への示唆』(2005)などの著作をポルトガル語で出版している。
ペーター=パル・ペルバール(Peter Pal Pelbart):1956年生まれ。ブラジル、サンパウロカトリック大学教授。ドゥルーズとガタリの思想を研究しブラジルに導入する一方、統合失調症等セラピストでもあり、患者との演劇活動を続けてきた。狂気、時間、生政治学、ニヒリズムなどを主題としたポルトガル語の著作が多数ある。本年12月に立教大学招聘研究員として滞在の予定。
ブライアン・マスミ(Brian Massumi):1956年生まれ。カナダ、モントリオール大学教授、社会理論家、作家、哲学者。ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリ共著『千のプラトー』の英訳者である。主な著作にA User's Guide to Capitalism and Schizophrenia: Deviations from Deleuze and Guattari (MIT Press, 1992)、Parables for the virtual(Duke University Press, 2002), Semblance and Event: Activist Philosophy and the Occurrent Arts (MIT Press, 2011)がある。
ジョルジョ・パセローネ(Giorgio Passerone):フランス、リール第3大学教授。イタリア文学、現代思想、映画を研究する。『ダンテ、生の地図学』、『パゾリーニの移動』(René Schérerとの共著)などの著書があるほか、映画監督ジャン=マリー・ストローブの作品制作にも参加し、俳優として出演している。
江川隆男(えがわたかお):哲学者、首都大学東京都市教養学部助教、著作に『存在と差異―ドゥルーズの超越論的経験論』、『死の哲学』、『超人の論理』などがある。
香山リカ(かやまりか):立教大学現代心理学部教授、精神科医、『多重化するリアル―心と社会の解離論』、『絆ストレス 「つながりたい」という病』、『「独裁」入門』など多数の著書がある。
田崎英明(たざきひであき): 立教大学現代心理学部教授, 著書に『ジェンダー/セクシュアリティ』、『無能な者たちの共同体』などがある。
宇野邦一(うのくにいち):立教大学現代心理学部教授、著書に『ドゥルーズ 群れと結晶』、『アルトー 思考と身体』などがある。
<特別ゲスト>
田中泯(たなかみん):舞踊家、独自の即興ソロダンスを世界各地で繰り広げてきた。「たそがれ清兵衛」(山田洋次監督)など、映画・テレビでの出演も多い。近著に『意身伝心』(共著)がある。フェリックス・ガタリの参与するラボルド精神病院でダンスするなど、共同作業を行なったこともある。
諏訪敦彦(すわのぶひろ):映画監督、主な監督作品に『2/デュオ』,『M/OTHER』,『H story 』,『不完全なふたり』,『パリ、ジュテーム』,『ユキとニナ』がある。 
対象 学生、教職員及び一般
共催 現代心理学部
問い合わせ 心理芸術人文学研究所 TEL 048-471-7251
現代心理学部事務室  TEL 048-471-7149
備考 このシンポジウムは文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業研究プロジェクト「新しい映像環境をめぐる映像生態学研究の基盤形成」(平成23-27年)の一環として行われます。