2025年7月25日金曜日

メキシコ文学をひもとけば:ジェンダーで読み解く物語と社会(全4回)

 本研究所研究員である洲崎圭子氏が、KUNILABOの一連の9月期開講講座の一つとして、メキシコ文学とジェンダーについての講座を4か月連続4回行います。

講座の詳細とお申込みはこちら


オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」を用いて行います。
*第一回講座開講までに申し込み者が3名に満たない場合、2回目以降は不開講となる可能性があります。
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タイトル:メキシコ文学をひもとけば:ジェンダーで読み解く物語と社会
初回日時: 2025年9月3日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第1水曜日(9/3、10/1、11/5、12/3)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)
参加費: 全4回 一般8,000円/学生4,000円
※学生でお申し込みの方は、
(1)当日までに、学生証の画像・写真をinfo@kuniken.orgまでメール添付にてお送りいただくか、
(2)お申込み時のアンケートフォームの「学生確認用メールアドレス記入欄」に、大学などの在籍先が発行したメールアドレスをご記入ください。
各回の予定
第一回    メキシコ文学は古臭い!?
第二回    『バルン・カナン』と先住民世界
第三回    『俺の歯の話』と移民
第四回    『ハリケーンの季節』とフェミサイド

【講座概要】

 23位って、何の順位かご存じでしょうか? メキシコのジェンダーギャップ指数ランキング(2025年)です。メキシコは、マチズム(=男性優位主義)が蔓延する国だ、と言われます。確かに、マチズム(英語)/マチスモ(スペイン語)は、スペイン語で「雄」を意味するマチョmachoに由来します。でも、メキシコの国会議員のうち、女性と男性の割合はほぼ半々。17世紀の植民地期には、女性が書く権利を堂々と主張した尼僧がいました。同性婚が可能で、古くから第三の性とされる人々の存在もあります。メキシコを舞台にしたメキシコ人だけが登場するアメリカ映画「リメンバー・ミー」、太い眉毛の女性画家フリーダ・カーロ、外交官として東京にも赴任したノーベル賞詩人オクタビオ・パス。なんとなく知っているけど実はよく知らないメキシコを、女性作家たちの小説作品をひもときつつ、深掘りする旅にでかけませんか? 

 初回では、メキシコとはどんな国か概観し、そのメキシコで書かれ、世界中で読まれている小説作品の傾向――円環的時間軸、証言小説、時空を超えるポリフォニー世界等々――についてみます。第二回は、三島由紀夫と同年の生まれだったロサリオ・カステリャノスの、チアパスを舞台にした小説『バルン・カナン』を中心に、女性のあいだの差異について確認し彼女たちの葛藤をみます。第三回は、米国に移住後にwoman of colorという単語を知ったというメキシコ人女性作家バレリア・ルイセリのスペイン語/英語の自己翻訳小説を読み、移民について考えます。第四回は、英語圏でも人気のフェルナンダ・メルチョールの『ハリケーンの季節』を読みます。同性愛、女性嫌悪、トランスジェンダー、麻薬、中絶等々、今のメキシコ社会をそのままうつしとったともいえる同作から立ち現れてくる現代的課題の数々は、実は決して他人ごとではすまされない世界かもしれません。