2009年2月15日日曜日

HP全面リニューアル一周年


2008年2月14日に全面リニューアルしたWebSiteを公開しました。 昨日で新しいWebSiteを運用し始めて1年になりました。


アクセスカウンターは昨年4月から再カウントを始めているので、1年間のサイト訪問者は1万前後でしょう。年間アクセス数約1万というのは、存在を知っている人が訪問するサイトという数値だそうです。

たまに数字や日時の間違いなどもあり、失敗したこともあるのですが、概ね、役に立っているように感じられます。

1年たった今では、日々進化をとげているWebsiteの中では、このページも新しく感じられないようになりつつあります。

日頃の業務の多さから、なかなか「進化したHP」には着手できないでいるのですが、HPの更新すらできなかった、1年前から比べると、最近ではソースコードからリンクの張り替えもできるようになるなど、担当者としてはスキルの進化を感じています。 そういった進化はサイト上では見ることはできないのですけれども。

今後も少しずつ技術を向上させ、見やすくて親しみやすいWebsiteを育てていくつもりです。

この1年間皆様の温かい励ましと寄稿などによるご協力に心から感謝申し上げます。

2009年2月3日火曜日

翻訳の難しさ

昨日ニコラス神父の記事を引用したのは、ラテンアメリカ研究所の伝統の重みを考えさせられたこともあるが、同時に翻訳の難しさというものを感じたためでもある。

最初にこの記事を目にしたのは、「解放の神学にもっと時間を」とイエズス会総会長という雑誌のタイトルである。

その中に、昨日私が仮訳をした文章が別の翻訳で掲載されていた。

「・・・・それが(解放の神学が)「信任」を得られないのは、飛ぶことを学ぶ前に翼が切られるような恥辱だ」

イエズス会の総会長が、解放の神学がバチカンから認められていないことを『恥辱だ』・・・などと果たしていうものだろうか、と疑問に思った。

そこで、原文を探したみたのが、昨日ブログに引用した文章である。

スペイン語の発言では Es una lástima que とある。
調べてみると、いくつもの英訳があるが、

たとえばWikipediaのニコラス神父の項目では
Liberation theology
In a November 2008 interview with El Periodico, Nicolás described liberation theology as a "courageous and creative response to an unbearable situation of injustice in Latin America."[13] These remarks are particularly controversial since liberation theology has been pointedly denounced by Pope John Paul II[14] and by Pope Benedict XVI, when he was still Prefect of the Congregation for the Doctrine of the Faith.[15] However, the Superior General also added, "As with any theology, liberation theology needs years to mature. It’s a shame that it has not been given a vote of confidence and that soon its wings will be cut before it learns to fly. It needs more time."[13]
http://en.wikipedia.org/wiki/Adolfo_Nicol%C3%A1s

とある。

封印された状態にある解放の神学が円熟するまでに時間が与えられなかったことを残念であるとイエズス会総会長がコメントするだけでもかなり大変なことであるのに、スペイン語のes una lástimaが shame になり、日本語で恥辱になると、日本の読者はさぞ驚くことだろう。

原文理解の大切さを感じた出来事である。

(文責:篠塚)

2009年2月2日月曜日

解放の神学

ラテンアメリカ研究所の活動の中心であるラテンアメリカ講座の歴史は長く、約45年である。
初期のラテ研の講師陣をみると、現在ではラテンアメリカ学会の重鎮になっている方も多い。受講生の中からたくさんの研究者が生まれていることは言うまでもない。

学会とは別ではあるが、講師陣の中で世界的に有名になった人物といえば、現在のイエズス会総会長のアドルフォ・ニコラス神父だろう。

総会長になってからは海外のニュースでもニコラス神父の名前を目にするようになった。

最近見つけたニコラス神父に関する記事は、解放の神学についての見解である。解放の神学といえば、現在では教会の中では封印されてしまっている印象を受けるが、これについて言及したものである。

インタビューの中で、ニコラス神父に対してなされた質問

疎外された人たちのためにイエズス会士たちが行っている活動において、解放の神学は今も意味を持ち続けているのでしょうか?

これに対して、

「(解放の神学は)ラテンアメリカでの耐えがたい不正の状況に対して勇敢に新しいものを創ろうというひとつの答えとして生まれたものです。あらゆる神学は成熟するまでに時間がかかります。「信任票」が与えられずに、鳥が飛ぶことを学ぶ前に翼が切られたようになったのは残念なことです。(神学として成熟したものになるためには、解放の神学にも)時間を与える必要があるのです。」(訳:篠塚)

と答えている。

このEl periodicoのインタビューが話題となっている。

詳細はこちらから

http://www.elperiodico.com/default.asp?idpublicacio_PK=46&idioma=CAS&idnoticia_PK=561824&idseccio_PK=1021

(文責:篠塚)

2009年1月23日金曜日

フィデル・カストロは健在だった!

伊高浩昭(ジャーナリスト)

 ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領によって1月11日、〈重態説〉が流されたキューバ革命の精神的指導者フィデル・カストロ共産党第1書記(82歳)は21日、キューバを訪問していたアルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス大統領と40分間会談し、自ら〈重態説〉を否定した。

 フィデルは翌22日、「省察」と題したコラムシリーズを38日ぶりに再開し、20日就任したバラク・オバマ米大統領について、「1959年1月のキューバ革命勝利以来11人目の米大統領が就任した。オバマの誠実さは疑いないが、過去の大統領たちの域を出ていない」と述べて、オバマとヒラリー・クリントン国務長官が決めるキューバ政策に警戒心を示した。

 だが、このコラムの重要性は後段にある。フィデルは、「省察」を久々に書いたのを踏まえて、「〈省察〉執筆を減らすことにした。党と政府の同志たちを煩わせないようにするためだ。私は今は元気だが、同志たちの誰も今後、〈省察〉や私の重態・死に影響されてはならない」と書いているのだ。

 さらに「半世紀にわたって私が行なった演説や書いた論文などを点検している。私は情報を受け取り情勢について静かに思考する特権を長い間享受してきた。だが、オバマの任期4年が終わるまでこの特権を享受し続けることはないと思う」と記している。

 フィデルは明らかに〈遠くない死〉を覚悟している。「重態」という言葉を使ったのも、チャベスが指摘したとおり、つい最近まで容態が悪化していたからかもしれない。実権を握る実弟ラウール・カストロ国家評議会議長(元首兼首相、77歳)もフィデルも、すでに実質的に〈フィデル後〉の時代に入っている。今回の〈重態説〉騒ぎは、期せずしてフィデルの本音を引き出すのに貢献することになった。

2009年1月13日火曜日

カストロ前キューバ議長の容体悪化か?!

カストロ前キューバ議長の容態悪化か

キューバの精神的指導者フィデル・カストロ前議長(82)の容態が悪化したのではないかとの見方が流れている。

・それは、前議長が、共産党機関紙グランマなどへのコラム「省察」を昨年12月15日を最後に小1ヶ月書いていないこと
・元日の革命勝利50周年でラウール・カストロ議長のフィデル礼賛が目立ったこと
・11日(一昨日)、フィデルの盟友であるベネズエラのウーゴ・チャベス大統領が公式放送で、「フィデルが人前に現れることはもはやなく、記憶に刻み込まれるだろう。フィデルは肉体的生命を超えて生き続けるだろう」と明言したこと

——などを根拠としている。

現時点では、これ以上の判断材料はなく、新たな情報を待つしかない。

1月13日 伊高浩昭

2009年1月12日月曜日

キューバ革命50周年記念講演会


立教大学ラテンアメリカ研究所による、2008年度、最後の講演会となります。

2009年1月1日に50周年を迎えた、キューバ革命。
半世紀たった今だからこそ、見えてくるもの。

そして、チェゲバラの死後40年を経て、革命50周年のこの時期にソダーバーグ監督の映画による、チェ・ゲバラの復活。今、一番知りたい疑問に答えてくれる講演会です。

長年キューバを研究してきた研究者である後藤政子氏による「キューバ革命50年のあゆみ」の基調講演を聴き、同じくキューバを長年取材してきたラテンアメリカジャーナリストの伊高浩昭氏との対談。

先日、2つのチェ・ゲバラ「第1部 28歳の革命」の立教大学学生限定特別試写会を開催しましたが、今回は第2部試写会に先立ち、キューバ革命講演会を行います。

キューバ革命に関する知識を得てから見ると、また違った見方もできるのでは?

講演会:キューバ革命50周年記念
日時:1月17日(土)14:00~17:00
会場:8号館8304教室

基調講演:講師:神奈川大学教授 後藤 政子
現在、神奈川大学外国語学部教授。ラテンアメリカ現代史専攻、著書に『新現代のラテンアメリカ』『キューバは今』『ポスト・コロニアルと非西欧世界』、『キューバを知るための52章』訳書『エルネスト・チェ・ゲバラ伝』『ホセ・マルティ選集』等。

対談:講師:伊高 浩昭氏:ジャーナリスト、立教大学ラテンアメリカ講座講師、 共同通信記者、駐在員、特派員として40年以上ラテンアメリカの報道に関わる。 共同通信退職後もエディターとしてラテンアメリカ報道の第一線で活躍中。著書、翻訳多数。 「フィデル・カストロ後のキュ-バカストロ兄弟の確執と〈ラウル政権〉の戦略 」 ブライアン・ラテル/伊高浩昭 /作品社、「「キュ-バ変貌」 伊高浩昭 /三省堂 、「Cuba(ク-バ)砂糖キビのカ-テン」伊高浩昭 /リブロポ-ト

2009年1月5日月曜日

南北アメリカの外交の変革(アメリカ研究所との合同シンポジウム)


毎年恒例のアメリカ研究所との合同シンポジムです。


今年は南北アメリカにとって大いなる変革の年となりそうです。なんといっても、その中心は昨年選挙に勝利したオバマ氏の大統領就任。ラテンアメリカはどのような道を進むのでしょうか?こうした疑問に方向性を示してくれるのが、今週土曜日に開催される、立教大学アメリカ研究所とラテンアメリカ研究所の合同シンポジウムです。

そして、このシンポジウムが特別に楽しみなのは、ラテンアメリカ講座で6年間教えてくださっていた、遅野井先生が講演をなさることです。当時の受講生にはハガキでお知らせしましたが、ぜひなつかしい顔を見せていただきたいものます。

日時:2009年1月10日(土)17時より
場所:立教大学池袋キャンパス5号館1階5121教室

前半講演内容:「オバマ次期政権の対外外交政策―ラテンアメリカ政策を中心に歴史的視点からの考察
講師:広島市立大学国際学部教授 上村 直樹
現在、広島市立大学国際学部教授。アメリカ政治外交史および国際政治学を専攻。特に米州関係と日米関係、ANZUS同盟関係への関心が深い。共著に『アメリカが語る民主主義』(ミネルヴァ書房、2000年)、『戦後アメリカ外交史』(有斐閣、2002年)、『21世紀の核軍縮』(法律文化社、2002年)など。

後半講演会内容:「ラテンアメリカの政治変革―左派政権の挑戦と課題」
講師:筑波大学大学院人文科学研究科教授 遅野井 茂雄
現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。日本ラテンアメリカ学会理事長(2004年~2008年)。専門はグローバル化とアンデス諸国のガバナンス構築、ラテンアメリカの左派政権など。共編著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権』(アジア経済研究所、2008年)、『ラテンアメリカの人々を理解するために』(新評論、2001年)など。