以前に『セブンデイズインハバナ』をご紹介いただいた映画配給会社より、下記の映画のご紹介をいただきましたので掲載いたします。ポルトガルを舞台にした映画、監督はチリ出身です。
公式サイトはこちらから
http://www.alcine-terran.com/mysteries/
配給会社からの紹介文(抜粋)を以下に掲載します。
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名匠ラウル・ルイスの最高傑作。唯一無二、幻想的で魅惑的な4時間26分。本国フランスでは1年間のロングランを続けたのち、その年最も革新的なフランス映画に贈られるルイ・デリュック賞を始め、米国のサテライト賞 最優秀外国語映画賞など世界中で数々の賞を受賞。また、2010年ル・モンド紙 ベスト映画No 1に選出され、「今年これ以上のすばらしい映画作品を見ることはないだろう」(ヴォーグ誌)等から賞賛された。
監督は、『見出された時-「失われた時を求めて」-』(99)、『クリムト』(06)など幻想的な作品で知られる、チリ出身で亡命後、フランスを拠点に活動を続けてきたラウル・ルイス。大病に冒された体で、“遺言”のつもりで撮影に臨んだという本作には、“巨匠の新たな最高傑作”との呼び声が広く響き渡った。そして、本作の大成功を見届けるかのように、ルイスは、2011年70歳でこの世を去った。『ミステリーズ 運命のリスボン』は100本以上の作品を世に送り続けた巨匠の最高傑作であり、最期の監督作(※生前に世界公開された※)となったのだ。
19世紀前半、激動のヨーロッパ。主人公はリスボンの寄宿舎に身を置く孤児の少年ジョアンと、彼の出生の秘密を解き明かすキーパーソン、ディニス神父。そして、謎解きのように物語は幕を開ける。因習に囚われる老貴族、異国から来た成り上がり者、過去の愛に生きる修道士、嫉妬に駆られる公爵夫人…。やがて情熱や欲望、嫉妬や復讐に駆られた無数の男女たちの人生を巻き込みながら、ミステリアスでドラマティックなエピソードがパッチワークのように紡がれていく。ポルトガル、フランス、イタリア、そしてブラジル。目も眩むスケールの舞台装置で過去と現在を行き来しながら、登場人物たちが胸に秘める“秘密”は思いもよらない形で、別の“秘密”と交差していき、やがて謎に満ちた壮大な運命のパズルは、驚きの結末へと向かう・・・。
本作のテーマは多岐にわたる。アイデンティティの探求、繰り返される血と家族の悲劇、甘美な悲恋のメロドラマ…。あるいはアリストクラシーからデモクラシーへの時代の変換を、没落貴族や新興ブルジョワの姿を通して描いた雄弁な歴史絵巻。さらには生と死の謎を内包した、“愛”と“運命”についての燃え盛る叙情詩でもあるだろう。
さらにルイス監督本人の持ち味とされるシュルレアリスムへの傾倒は、夢、死、謎に彩られた幻想的な作品世界に完全に溶け込んでいる。優美で古典的な風格を漂わせながらも、前衛的な演出さえ辞さない自由なカメラワークで、本作をどこまでも瑞々しくモダンに仕上げている。
ロマン主義最大の作家、文豪カミロ・カステロ・ブランコの人気小説を原作に描かれる、めくるめく“運命の神秘”。
原作は、“ポルトガルのバルザック”と称され、ロマン主義最大の作家と言われる、文豪カミロ・カステロ・ブランコの小説。ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督にも多大なインスピレーションを与えてきた人物である。ブランコは19世紀を代表するフランス人作家に心酔していただけに、オノレ・ド・バルザック的な“厳しく深い人間洞察”、ヴィクトル・ユゴー風の“情熱溢れるロマンティズム”、アレクサンドル・デュマ流の“痛快で劇的な展開”が、本作においても贅沢に味わえる仕掛けとなっている。
本作は目覚めながら見る夢にも似ている。長編でありながらも不思議と長さを感じさせないのは、人生が一瞬で流れる夢にも似ているから。監督自身が「この映画を一言で表現するなら、少なくとも二つの言葉が思い浮かぶ:「滑動」と「迷宮」、連続ドラマの迷宮である」と語ったように、いつしか観る者を魅惑的な運命の迷宮に誘い込んでしまうのだ。
※本作のあと、ラウル・ルイスは帰国可能状態となった母国チリで撮った「向かいににある夜」La noche de enfrente (12)を監督するが、公開を見届けることなく2011年8月25日パリの聖アントワーヌ病院で死去。享年70歳。ジョン・マルコヴィッチがウェリントン公爵を演じ、ドヌーヴ、ユペール、ピコリ、キアラ、プポーなど豪華キャストが出演した壮大な“戦争絵巻”、「Linhas de Wellington」(2013年日本公開予定)に取り掛かっていたが、撮影前に死去。生涯のパートナーだったバレリア・サルミネントが作品を完成させた。『ミステリーズ 運命のリスボン』はルイスが存命中に世界公開された最期の作品となる。