2009年3月23日月曜日

ブエノスアイレスで盛大に<石蹴り遊び>

特別寄稿:伊高浩昭(ジャーナリスト)

【先月、本欄に「コルタサル没後25周年に寄せて」を寄稿しました。その続報をまとめました。】

 アルヘンティーナの作家フリオ・コルタサル(1914―84)の没後25周年記念行事は、祥月命日の2月12日から続けられていたが、3月21日、この作家の代表作『石蹴り遊び(ラユエラ)』(1963年)に因んだ大がかりなパフォーマンス「ラユエラルテ」で終わった。

 「ラユエラルテ」とは、ラユエラ(石蹴り遊び)とアルテ(芸術)を組み合わせた言葉。ブエノスアイレスの目抜き「7月9日」大通りの120カ所に貼り付けられた縦8メートル、幅2メートルの石蹴り遊び場と、これを描いた創作行為そのものを意味する。ポルテーニョ(港人=BsAs子)や旅行者は童心に返って1時間、石を蹴り飛び跳ねて遊んだ。

 大通りのアスファルトに、原色を組み合わせたサイケデリックの美しい彩りで遊び場を出現させたのは、亜国の造形作家マルタ・ミヌヒーン。数十人の演奏家がサクソフォーンで、コルタサルが好んだチャーリー・パーカーのジャズを演奏するなか、人々はコルタサルの本などを提示して、石蹴りに参加した。

 予定の1時間が過ぎると、遊び場ははがされ、車がひっきりなしに走る普段の大通りに戻った。この粋なハプニングないし「アルテ・エフィメロ(はかない芸術)」を企画したのは、首都市庁文化局。タンゴの本場でジャズというのが、セピア色っぽく床しい。

(了) 

2009年3月21日土曜日

修了式(entrega de diploma)


修了証書を手に

今日は待ちに待った修了式。
長い方で10年、短い方で2年、平均すると3~4年かけて、修了に必要な単位を取得して卒業する。
ありがたいことに、ラテンアメリカ講座の修了生は立教大学総長から一人一人に修了証書を手渡される。立教大学の卒業生であっても、総代でない限り、総長から直接に卒業証書をもらうことはない。ラテンアメリカ講座の修了生はとても恵まれていると思う。

受け取った修了証書を手に、修了生が一人一言ずつ話す。どうやって、この講座と巡り合ったのか、そして、ここでどのように自分がラテンアメリカとのかかわりを深めたのか、どのような仲間と出会ったのか、これからどうやって行くのか。

ラテンアメリカ講座には社会人が多い。この数年間を振り返り、仕事と勉学をよく両立してきたなという感慨にふける方もいる。

なかには、途中で大病を患ったり、職場で部署の移動があったり、結婚をしたり、さまざまな事情を乗り越えて通い続けた人もいる。そんな思いのたくさん詰まった修了証書である。

修了生一人一人が、総長や所長の前で一言ずつ話すのだが、何人かが「これで終わりではなく、次の新しい一歩を踏み出す」と言っていた。

このままずっとラテンアメリカ講座で勉強を続ける人もいる。さらに大学院で勉強を深める人もいる。長い歴史を持つラテンアメリカ講座には、さまざまな道を歩いている先輩たちが存在する。

ラテンアメリカ講座とラテンアメリカ研究所はいつまでも受講生のHOMEであり続けたいと思う。
ここから巣立つ人も、継続する人も、

¡Aquí tiene su casa!

2009年3月12日木曜日

春休み


春休みは何をして過ごす?

多くの場合、1月第1週から授業がないラテンアメリカ講座の場合は、そんな会話もよく聞かれる。
週末休みに旅行を計画する場合もあるだろう。

ラテンアメリカ講座にとって春休み中の大きなイベントは3月の修了式である。
全員が修了するわけではないので、修了生は毎年1桁台である。
今年の修了生は9名。2年で修了することも可能であるが、通常3年以上かかる。
ほとんどの受講生が仕事を抱えワークライフバランスに悩みつつ、週末に立教のキャンパスに通い、修了証書を手にする。

多くの公開講座のように、数回で終わるか、長くても数か月で終わる講座とは異なり、何年も通い、Diplomaを手にするのはどんな気持ちだろうか。

事務局の春休みは忙しい・・通常でも忙しい上に、今年のように様々なことが重なると帰宅するのが10時過ぎで、いっそのことオフィスに泊まりたいということもよくある。

そんな中で、この修了式は厳粛な気持ちになり、この仕事の素晴らしさを実感できる瞬間である。
おそらく、それゆえに立教大学総長も毎年この式に参加してくれるのではないかとひそかに思っている。