2011年12月22日木曜日

野谷文昭「オクタビオ・パス『内なる樹』『帰還』を読む」

天童大人プロデュース

プロジェクトLa Voix des Poètes(詩人の聲)
――「目の言葉」から「耳のコトバ」へ vol. 702――

~野谷文昭先生によるオクタビオ・パスの詩の朗読会~


■日時 12月27 日(火) 18:30開場/19:00開演(約1 時間)

■入場料 予約¥2,700 当日¥3,000/学生(学生証呈示)¥1,500
※ご予約は直接、会場に電話またはメールでお申し込み下さい。

■会場 ギャルリー東京ユマニテ(GTH)
〒104-0031 東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F
(地下鉄京橋駅⑥出口より徒歩1 分 JR 東京駅八重洲口から徒歩8 分)
Tel. 03-3562-1305 Fax. 03-3562-1306
http://g-tokyohumanite.jp/ e-mail: humanite@js8.so-net.ne.jp

2011年12月9日金曜日

ワールドミュージックの館~峰万里恵と仲間たち~第3回 FIESTA!!!

日時:12月24日(土) 18:30開館/19:00開演
会場:東京・東中野 cafe & space ポレポレ坐
出演:峰 万里恵(うた) 齋藤 徹(コントラバス)喜多 直毅(ヴァイオリン) 高場 将美(ギター/はなし)

 この夜はタンゴはありません。アルゼンチンのフォルクローレからは、大草原のスタイルで『ラ・ペレグリナシオーン(大草原の聖家族)』、サンティアーゴ州の『レサバイレ(祈り+踊り)のエスコンディード』、そして歌なしの演奏で、アンデス高原のカルナバリートのメドレーがあります。
 その他は、ポルトガルとペルーのすばらしい女性歌手たちがつくった、幼子イエスにささげる曲/リオのカーニバルが舞台の『ア・フェリシダーヂ(しあわせ)』『黄色いシャツ』/メキシコからはテキーラとともに愛のドラマ『にがいクリスマス』/アンダルシーア地方に発してスペイン語各地で広くうたわれているクリスマス民謡『ロス・ペーセス(魚たち)』/イタリアン・アメリカンのハッピーな恋歌『ザッツ・アモーレ』など多彩なプログラムです。歌詞はスペイン語、ポルトガル語、英語です。

詳細はこちらから
http://mariemine.web.fc2.com/activity.html

タンゴのスペイン語辞典(高場将美)

先日高場先生に連絡したおり、先生からのメールにタンゴのスペイン語辞典のサイトが掲載されていましたのでご紹介いたします。この辞典はWeb上にある高場先生ご自身が集めたタンゴの事典になっています。

タンゴの、歌詞や曲のタイトルなどに、ふつうの辞書には載っていない、あるいは表面的な定義では誤解を招くことばが、たくさん出てきます。この『タンゴのスペイン語辞典』は、そんなことばを集めたものです。

タンゴ辞典はこちらから
http://japalunfa.web.fc2.com/

2011年12月7日水曜日

日本ラテンアメリカ子どもと本の会による展覧会のお知らせ

「日本ラテンアメリカ子どもと本の会」の展覧会についてお知らせします。

以下、日本ラテンアメリカ子どもと本の会のHPより
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翻訳家、研究者、編集者、日本語支援ボランティア、読書指導員などのメンバーが、それぞれの専門の目で読み、2年かけて話し合って選んできた、ラテンアメリカに関する子どもの本100冊あまりを、さまざまなイベントをまじえ展示するそうです。(日本語、ポルトガル語、スペイン語の解説つき)。
●とき:2011年12月22日(木) 11時~19時
           23日(祝・金)10時~17時
●ところ:横浜市鶴見区民文化センター サルビアホール3Fギャラリー(JR/京急鶴見駅より2分) 

●入場無料

●展示内容

・絵本や民話、自然科学の本、ラテンアメリカの民族、文化、社会がわかる知識や歴史の本など、幼児から大人まで楽しめる、幅広いテーマの本108点
・本には日本語、ポルトガル語、スペイン語の解題つき。
・読書コーナーでは、中南米の国々で出版された、ポルトガル語・スペイン語の絵本や、バイリンガルの絵本を楽しめます。
・コロンブスのアメリカ大陸「発見」を絵本やよみものでふりかえる歴史コーナー
・イベント:
『わたしはせいか・ガブリエラ』の作者、東郷聖美さんのお絵かきワークショップ
絵本の読み聞かせ
メキシコのパペル・ピカド作り
モールを使ったグアテマラの「しんぱいひきうけ人形」づくり
ラテンアメリカクイズラリー。

詳細は
http://clilaj.blogspot.com/

2011年12月5日月曜日

コスタリカ大統領による講演会(国連大学ウタント・レクチャーシリーズ)

ラウラ・チンチージャ コスタリカ共和国大統領

「平和と持続可能な開発:コスタリカの経験」

  • 日時: 2011年12月8日 15:00 - 16:30
  • 場所: 国連大学本部 ウ・タント国際会議場
  • 主催: 国連大学、日本学術会議、米州開発銀行(IDB)アジア事務所
詳細はこちらのHPをご覧ください。
http://jp.unu.edu/u-thant/chinchilla.html

2011年12月2日金曜日

上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻シンポジウム「時空を超えるラテンアメリカ地域研究―多文化、多次元間の交差と共生」

上智大学グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻シンポジウム「時空を超えるラテンアメリカ地域研究―多文化、多次元間の交差と共生」のお知らせです。

日時: 2011年12月14日(水) 17:30~19:30
会場: 四ッ谷キャンパス中央図書館L-821会議室
事前予約不要・入場無料


プログラム:
【基調講演】
「専門知と現場知―地域研究の方法としてのアクション・リサーチ―」 
狐崎知己 専修大学経済学部教授

【パネル】
「時空を超えるラテンアメリカ地域研究 -潮流と課題-」

◎ 農業から見るメキシコ『北米化』の諸相  ―変わるものと変わらぬもの 
  谷 洋之 上智大学外国語学部教授

◎ インディヘナと向きあうこと  ―先住民研究の課題―
  大越 翼 上智大学外国語学部教授

◎ アフロ系ラテンアメリカ社会    ―ブラック・ディアスポラの視点から―
  矢澤達宏 上智大学外国語学部准教授

モデレーター:幡谷則子 上智大学外国語学部教授

2011年11月24日木曜日

メキシコ大使館でのクリスマスパーティのお知らせ

立教大学スペイン語の先生よりご紹介がありましたメキシコ大使館でのクリスマスパーティのご紹介です。

2011年11月21日月曜日

サンティアーゴ・パハーレスのトークイベント


池袋のジュンク堂にて行われるスペインの作家、サンティアゴ・バハーレスのトークイベントのお知らせです。
現在予約受付中。


『キャンバス』刊行&著者来日記念トークイベント   ぼくは小説『キャンバス』をどう書いたか


サンティアーゴ・パハーレス(作家)×聞き手:木村 榮一(ラテンアメリカ文学研究者)
■2012年1月16日(月)19:30~ 池袋ジュンク堂書店
25歳にして書き上げた処女長編作『螺旋』が、新聞・雑誌等で絶賛され、読者の方々からも熱烈な支持を得ている、スペイン人作家サンティアーゴ・パハーレス氏が、最新作『キャンバス』の刊行を機に、ついに来日します。
訳者で、ラテンアメリカ文学研究者の木村榮一さんが、パハーレスさんの生い立ちから、『螺旋』そして最新作『キャンバス』執筆の経緯、その創作技法まで、じっくり話をうかがいます。

2011年11月18日金曜日

メキシコ学講義(一橋大学)

メキシコ大学院大学の経済学者を招いて一橋大学での「メキシコ学」の公開講義です。

講師:ヘラルド・エスキベル教授

1)11月29日(火)15:00~17:00  「メキシコが豊かでない理由と豊かであるべき理由」
2)11月30日(水)15:00~17:00  「メキシコと国際金融危機:その影響とこれからの展望」
3)12月1日(木)15:00~17:00   「メキシコにおける麻薬と暴力の経済学と政治学」

一橋大学東キャンパス第3研究館3階 研究会議室
事前申し込み不要
対象:学生、院生、教員、一般
言語:英語(通訳なし)

詳細はこちらをご覧ください
http://www.hit-u.ac.jp/function/outside/news/2011/20111110_2.pdf

2011年11月4日金曜日

国際シンポジウム「世界文学とは何か?」



東京大学文学部現代文芸論研究室が主催する国際シンポジウム「世界文学とは何か?」の詳細が発表されましたので、こちらでもお知らせいたします。

最近『世界文学とは何か?』(国書刊行会)の邦訳が出て注目されている「世界文学論」の旗手デイヴィッド・ダムロッシュ氏(ハーヴァード大学教授)と、まったく新しいコンセプトによる世界文学全集(河出書房新社)個人編集によって現代的な世界文学像を示した作家の池澤夏樹氏をお迎えし、世界文学とは何か、いま世界文学をどう読みどう研究すべきか、世界文学全集はどうあるべきか、などについて徹底討議します。


※予約不要、入場無料、先着順
※英語通訳付き(ただしダムロッシュ氏の英語による講演は翻訳配布のみ)

日時:2011年11月12日(土)/午後2時〜午後6時20分(開場:午後1時30分)

会場:東京大学本郷キャンパス 法文2号館2階1番大教室(定員220名)
交通:地下鉄丸ノ内線・大江戸線「本郷3丁目」、南北線「東大前」、千代田線「根津」など下車、徒歩10分

第2回ポルトガル語スピーチコンテスト出場者募集

ブラジル、サンパウロ市の姉妹都市である大阪市にある、財団法人 大阪国際交流センターより、第2回ポルトガル語スピーチコンテスト出場者募集要項が届きました。ポルトガル語を母国語としない方(高校生以上35歳まで)には出場資格がありますので、興味のある方は下記のサイトをご覧になってください。優秀者の中から1名はサンパウロに派遣されるようです。

詳細はこちらのサイトをご覧ください。
http://www.sisterc.net/saopaulo/

2011年10月26日水曜日

古代アメリカ学会 第16回研究大会

古代アメリカ学会から研究大会のお知らせが届きましたので掲載します。

日時:2011年12月3日(土)
会場:埼玉大学総合研究棟1階シアター教室

主催:古代アメリカ学会、後援:埼玉大学

プログラムの詳細はこちらのHPに近々アップされる予定です。

http://jssaa.rwx.jp/

2011年10月21日金曜日

México en el laberinto del terror ~恐怖の迷路に陥ったメキシコ~

上智大学イベロアメリカ研究所が主催する講演会のご案内です。

日時:2011年11月10日(木曜日)17:30~19:30
場所:上智大学中央図書館8階821会議室
使用言語:スペイン語(通訳なし)
入場無料、予約不要

詳細はこちらのHPでご確認ください
http://www.info.sophia.ac.jp/ibero/


主催:上智大学イベロアメリカ研究所
ibero@sophia.ac.jp

2011年10月19日水曜日

プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 展

美術展のお知らせです。
美術展:「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 展」
会場:国立西洋美術館
会期:2011年10月22日(土)~2012年1月29日(日)
スペインからの「着衣のマハ」を始めとした72点と国立西洋美術館所蔵の版画50点を紹介。

美術展に合わせて、講演会情報もお知らせします。


■ 「ゴヤ 光と影―出品作品をめぐって」※翻訳付き

マルエラ・メナ・マルケス(プラド美術館 18世紀・ゴヤ絵画部長)
ホセ・マヌエル・マティーリャ・ロドリゲス(同 素描・版画部長)

■ 「ゴヤの生きた時代ー啓蒙、革命、そして戦争」

立石博高(東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授)

■ 「二つの時代を生きた画家ゴヤ:その芸術と人間像」

大髙保二郎(早稲田大学文学学術院教授)

■「ゴヤと近代美術」
村上博哉(国立西洋美術館学芸課長)

会場: 国立西洋美術館講堂
定員: 各回先着140名(聴講無料。ただし、聴講券と本展の観覧券が必要)
参加方法: 当日12:00から、館内インフォメーション

スライドトーク
11月4日(金)、18日(金)、12月9日(金)  2002年1月13日(金)
各回  18:00~30分
定員先着140名

2011年10月14日金曜日

伊高先生からのブログ開設のお知らせが届きました。

シベルナウタ(サイバー航海士)、ブロゲロ(ブログ操縦士)の皆さん、私サルバドールこと、伊高浩昭はこのほど下記のブログを開設しました。


ブログ「現代ラテンアメリカ情勢」
http://vagpress-salvador.blogspot.com/

   今後書く記事は、ラ米(ラテンアメリカ)情勢が中心ですが、文化や「非ラ米」なども執筆テーマとします。サイバー網の散歩中に、ぜひ当ブログの扉をたたいてください。では、網の中で!


2011年10月14日 東京にて 伊高浩昭(サルバドール)

2011年10月13日木曜日

伊高浩昭講師「現代ラテンアメリカ情勢」ブログ開設しました!

ラテンアメリカ論II(現代ラ米情勢)の伊高浩昭先生が個人ブログを開設しました!
授業を先取り? 授業のまとめ? 

いいえ。

広く一般の方々へラテンアメリカ情報をお届けしたいと伊高先生が始めた個人ブログです。
ここでも更新情報をアップします。




伊高先生のブログ「現代ラテンアメリカ情勢」はこちらからどうぞ

http://vagpress-salvador.blogspot.com/

2011年10月12日水曜日

エルビラ・リンド講演

日本でも人気の「めがねっこマノリート」シリーズの作家、エルビーラ・リンドの講演
日時:10月28日(金)19:00~
会場:セルバンテス文化センター
ラテンアメリカ研究所の図書室には日本語版とスペイン語版の両方がそろっています。
参照しながら読むのもおもしろいですね。

Elvira Lindo conferenciaで動画検索をしてみました。
たくさんのEntrevistaがあります。
コメントを読んでみると
muy agradabel, simpática, buenísima...
などの形容詞がでてきます。
作品同様、作家も素敵な人みたいですね。

2011年10月8日土曜日

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2011より「ラテンアメリカ映画」

秋は本当に映画祭が目白押しですね。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭から、ラテンアメリカ映画のお知らせです。
映画祭詳細はこちら
http://www.skipcity-dcf.jp/

1.「カラーズ・オブ・マウンテン」 2010年 コロンビア パナマ
日時:10月9日(日)14:00、10月13日(木)10:30
http://www.skipcity-dcf.jp/fl_01.html#002

2.「チャンス」 2010年コロンビア、パナマ
日時:10月10日(月)11:00  10月12日(水)17:30
http://www.skipcity-dcf.jp/fl_03.html

2011年10月7日金曜日

パンタナール~南米大湿原

ブラジルの大湿原「パンタナール」に関する2つのお知らせです。ラテンアメリカ研究所副所長、丸山先生の本と監修番組の紹介です。

1.書籍「パンタナール」  南米大湿原の豊饒と脆弱
世界自然遺産にも登録された世界最大級の熱帯低層湿原、南米パンタナール。その多様な自然環境形成メカニズムを実証的に解明するとともに、近年の経済活動や環境保護政策が生態系や地域社会におよぼした影響を分析・記録した。
 
海青社出版、2011年9月、丸山浩明編著
 
詳細はこちらから
http://www.kaiseisha-press.ne.jp/cat.pl?type=view&htma=0&RecordID=1315534687&bmode=&btype=index&begin=0&line=15&srtidx=3&srtmod=down

ラテンアメリカ講座受講生の方で購入希望の方には著者割にて本の購入ができます。
定価(3990円)の80%で、3192円+送料200円、合計3392円となります。
注文申込書がラテンアメリカ研究所にありますので、研究所までお問い合わせください。

 
2.「ダーウィンが来た! 生き物地球伝説」
今度の日曜日19:30からNHK1はブラジル、パンタナールがテーマです。
詳細はこちらから
http://www.nhk.or.jp/darwin/broadcasting/next.html

Cooking up dreams(ペルー映画)

「東京ごはん映画祭」(食に関連する映画を上映する)にてペルー映画「Cooking up dreams」(スペイン語"De ollas y sueños")が上映されます。

日時:10月10日17:10~、10月14日17:30~、10月19日15:45~
会場:東京都写真美術館ホール
入場:前売り1300円、当日一般1500円

詳細はこちらでどうぞ
http://tokyogohan.com/filmfestival/cooking-up-dreams

予告編はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=xvkGPjNOFbA

2011年10月5日水曜日

アマリーア・ロドリーゲスの歌

高場先生より、ご紹介のありました、スペインバル・オレでのライブの紹介です。
「アマーリアさんのうたった歌」

日時:10月22日(土) 19時より (18時開店、2パート入れ替えなし)
出演:峰 万里恵 (うた) 高場 将美 (ギター、MC)
会場:スペイン・バル Olé
新宿区 高田馬場3-12-27-105 TEL/FAX: 03-3364-3466
ミュージック・チャージ 1500円

詳細はこちらのHPまで
http://mariemine.web.fc2.com/activity.html#amalia

セルバンテス文化センターでの映画上映会

セルバンテス文化センターでは毎月、その月の映画上映会を行っていますが、今月はそれ以外にもいろいろな映画祭の上映を行っています。

■ 10月の土曜上映会  10月15日(土)17:00~  29日(土)14:30
『愛その他の悪霊について』イルダ・イダルゴ監督、コスタリカ・コロンビア、2010年
ガルシア・マルケスの同名小説の映画化。文学受講者には特にオススメ。

■ 第6回UNHCR難民映画祭  
『僕らのうちはどこ?-国境を目指す子供たち』レベッカ・カンミサ監督、メキシコ・アメリカ、2009年
10月9日(日) 12:00~
『インピュニティー~踏みにじられた人々の命』 ホワン・ホセ。ロザーノ、ホルマン・モリス監督、コロンビア他、2010年

■ 第24回東京国際女性映画祭
『あなたのひとこと』アンヘレス・ゴンサレス・シンデ監督、スペイン、
10月23日(日) 12:00~
『明日のプラン』(フアナ・マシアス監督)
10月25日(火) 18:00~

2011年10月3日月曜日

2011ブラジル映画祭



今年で5回目となる2011年ブラジル映画祭のお知らせです。
今年は8作品が上映されます。

日時:10月15日~10月21日
会場:ユーロスペース
費用:一般1500円 前売り1300円  学生1200円 4回券5000円
上映作品:「あの日の幸せ」「クリチバ0℃」「オンナの快感」「ガールズトリップ」「ノエル・ホーザ~リオの詩人」「この世の先に」「ジューサーの考察」「MPB1967」

詳細はこちらのHPからどうぞ
http://2011.cinemabrasil.info/

2011年10月1日土曜日

第24回東京国際映画祭「羅針盤は死者の手に」

本日の授業で佐藤先生からご紹介いただいた第24回東京国際映画祭のお知らせです。
この映画祭は、10月22日から10月30日まで六本木ヒルズで行われます。

ご紹介の映画は・・・

「羅針盤は死者の手に」
上映日:10月22日(土)21:00~  28日(金)18:00
違法に国境を越え、シカゴを目指すメキシコの少年。彼が乗り込む馬車には、続々と同乗者が増えてくるが、果たして進む方向は正しいのか? 牧歌的な描写に不条理なユーモアが重なり、寓話のような展開も刺激的な異色のロードムービー。

詳細は
http://2011.tiff-jp.net/ja/

2011年9月30日金曜日

Musical message from Trinidad & Tobago to Japan

ラテンアメリカ講座の受講生であり、トリニダード・トバゴ(TT)駐在中の鈴木さんからお手紙が届きました。手紙の内容は、震災後の日本を心配するTTの人々からのメッセージをお届けしたいというものでした。

TTの音楽家たちの応援メッセージを届けるために奔走してくださったのは、TTの大学で教鞭を取る日本人音楽家の渡辺洋一さんという音楽プロデューサーです。まず下記のYoutubeが雄弁に語ってくれます。

http://www.youtube.com/watch?v=_S-YlDrC4fw

このメッセージがYoutubeにアップされたのは4月15日です。3月11日以降4月15日にアップするまでにわずかの間にTTの多くのミュージシャンに演奏をしてもらっていたのですね。この優しい響きのTTの音楽の中には「上を向いて歩こう」も含まれています。

7月末にTTの有名ミュージシャンが集って作られた日本向けチャリティCD「What the world need is love」が完成。ちなみにこのCDの収益の半分は赤十字への寄付に回され、参加したミュージシャンはすべて無償でこの企画に参加しているそうです。

Youtubeを聞いてCDを手に入れたいと思った方は、こちらまで
http://item.rakuten.co.jp/actus/10013716/

2011年9月28日水曜日

ハイチとケベックのあいだで書くこと~ダニー・ラフェリエール(作家)

以前にお知らせしましたが、来週の月曜日に立教大学で行われる講演会のお知らせです。


公開講演会「ハイチとケベックのあいだで書くこと」
講師:ダニー・ラフィエリエール(作家)
日時:2011年10月3日(月)18:30~20:00
場所:池袋キャンパス マキムホール2階 M202教室

【講師略歴】
1953年、ハイチ生まれ。中等教育修了後ジャーナリストになるが、ジャン=クロード・デュヴァリエの独裁政権下で生命の危険を感じ、1976年、カナダ・ケベック州(モントリオール)に移住。工場などで働きながら、1985年、『間違いだらけの恋愛講座』で作家として華麗にデビューする。同作品はベストセラーになり、1989年には映画化もされる。90年代は一時マイアミに居を移すが、2002年よりモントリオールに戻り、2008年に『我が輩は日本作家である』を発表。日本文学への造詣も深い。2009年にはハイチへの一時帰郷をテーマにした『帰還の謎』(邦訳近刊)がケベックとフランスで同時発売されて、モントリオールで書籍大賞、フランスでメディシス賞を受賞し、世界的作家としての地位を固める。2010年1月、たまたまハイチの首都ポルトープランスに滞在していたときに大地震が発生。同年3月には、現地の様子を臨場感あふれる時評にまとめた『私の周りですべてが揺れる』を発表。2011年9月末から10月初めにかけて、ケベック州政府在日事務所と日本ケベック学会の招聘により来日予定。

対象者 本学学生、教職員、校友、一般

※申込不要、入場無料

2011年9月26日月曜日

建築に関する講演会、あれこれ

今週は東京で世界建築会議が開かれますね。この機会にあちこちで素敵な建築に関する講演会が開かれていますので、お知らせします。まずは、ラテンアメリカおよびスペイン語圏から。

講演会『中南米における歴史的市街の全面的修復について』


日時:9月29日(木)18:00~
会場:セルバンテス文化センター、オーディトリアム
入場無料、要予約。

歴史的建築物修復の第一人者、建築家Pedro Tembouryより、キューバ・メキシコ・グアテマラ等における歴史的遺産修復のための偉大な業績を自ら紹介する。
--------------------------------------------------------------------------------
シンポジウム:「景観再生」
講演者:隈 研吾、ミゲル・アギラル、カルロス・フェラテル、ジュセップ・フェランド、ラモン・サナブリア、エステバン・テラダス


日時:9月29日(木)19:00~
会場:セルバンテス文化センター、オーディトリアム
入場無料、要予約。
 
 9月25日から10月1日まで東京で開催される第24回世界建築会議にあわせ、展覧会『建築はランドスケープである』及び『景観再生』と題したシンポジウムを開催します。 本シンポジウムでは、カタルーニャの建築家グループを招き、近年の建築モデルにおける都市開発の重要性に始まり、彼らの、ある時は自然で、歴史的あるいは都会的なものとなる景観再生について、自身の作品とその概念との関連性に触れながらお話いただきます。その後、隈研吾氏がこのたびの地震災害で被害を受けた地域の復興についてお話いただきます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出版記念会:
フランコ・ラ・チェクラ著『反建築-大規模開発と建築家』(Franco La Cecla, “Contro l’architettura”, Bollati Boringhieri, 2008)の翻訳出版(鹿島出版会)を機に、著者を迎えて出版記念の会を開催します。

人類学者であり、またレンゾ・ピアノ事務所の顧問も務めたラ・チェクラ氏は、長年にわたり建築が社会に及ぼす影響について研究してきました。建築と空間について考察した本書では、近年有名建築家が都市再開発計画をてがけるケースが増えるなかで、建築家がかたちづくりに執心し、地域や環境への配慮を欠いている現状に目を向け、その手法に疑問を呈しています。

今回の出版記念会では、ラ・チェクラ氏が上記テーマを中心に基調講演を行い、その後、著作のなかで提示された問いかけをもとに、日伊の専門家・建築家が議論します。

日時:2011年9月30日(金)18時~21時(開場17時30分)

会場:イタリア文化会館アニェッリホール 東京都千代田区九段南2-1-30
主催:イタリア文化会館、法政大学エコ地域デザイン研究所
共催:公益財団法人 日伊協会
協力:イタリア大使館、伊日財団、ボローニャ大学IAS、鹿島出版会、グラニティフィアンドレ社
協賛:鹿島建設株式会社

入場無料:日伊同時通訳付

お問い合わせ:イタリア文化会館 Tel. 03-3264-6011(内線13, 14)

詳細はhttp://www.iictokyo.esteri.it/IIC_Tokyo/webform/SchedaEvento.aspx?id=409&citta=Tokyo



プログラム

講演:フランコ・ラ・チェクラ氏(45分)

パネルディスカッション:

 フランコ・ラ・チェクラ氏

 隈研吾氏(建築家、東京大学教授)

 ジョルジョ・ジャニギャン氏(ヴェネツィア建築大学教授)

 リヴィオ・サッキ(建築家)

 陣内秀信氏(法政大学教授) モデレーター

申し込み:参加ご希望の方は、件名を「9月30日シンポジウム」とし、お名前とお電話番号、参加希望人数を明記の上、eventi.iictokyo@esteri.itまでお申し込みください。

2011年9月24日土曜日

朗読会:野谷文昭(ラテンアメリカ文学研究者、翻訳家)パブロ・ネルーダ『マチュピチュの頂』(書肆山田刊)を読む

野谷文昭(ラテンアメリカ文学研究者、翻訳家)パブロ・ネルーダ『マチュピチュの頂』(書肆山田刊)を読む

野谷先生による、チリのノーベル賞詩人の代表作の朗読会。画廊の空間で聲に乗せます。


日時:10月13 日(木) 18:30開場/19:00開演(約1 時間)

会場:会場 ギャルリー東京ユマニテ(GTH) 
〒104-0031 東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F

入場料など:入場料 予約¥2,700 当日¥3,000/学生(学生証呈示)¥1,500 ※ご予約は直接、会場に電話またはメールでお申し込み下さい。

会場のHPはこちら
http://g-tokyohumanite.jp/index.html

2011年9月22日木曜日

野谷文昭編 『日本の作家が語るボルヘスとわたし』(岩波書店刊)

野谷文昭編『日本の作家が語るボルヘスとわたし』(岩波書店刊)が刊行されます。ボルヘス会の大会での作家による講演をまとめたもの。立教で行った第一回の川上弘美さんを初めとする10人の作家によるボルヘス論集で、世界に類例を見ないユニークなものです。


<十人の日本の人気作家――川上弘美,多和田葉子,奥泉光,小野正嗣,星野智幸,平野啓一郎,辻原登,高橋源一郎,荻野アンナ,吉田文憲――が実作者として,また個性的な一読者として,難解とされるボルヘスの作品に向き合い,魅力あふれることばで語る.作家自身の文学の方法や思想までが浮かび上がる,ボルヘスの迷宮への道案内(岩波書店HPより)>

岩波書店のHPはこちら
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/4/0247790.html

2011年9月21日水曜日

マリオ・バルガス=リョサ講演録(すばる10月号)

本年東京大学本郷キャンパスにて行われた、ノーベル賞作家、マリオ・バルガス=リョサの講演
「文学への情熱ともうひとつの現実の創造」野谷文昭 訳・解説が、すばる10月号に掲載されています。
講演を聴きに行った人も、行くことができなかった人もぜひご覧になっていただきたい講演です。
後期から、ラテンアメリカ研究所のラテンアメリカ講座ラテンアメリカ文学をご担当してくださる、東京大学教授、野谷文昭先生の翻訳・解説つきです。
 

2011年9月14日水曜日

ラテンアメリカの女性表象 -描かれる女・描く女-

上智大学ソフィアコミュニティカレッジ(公開講座)でのラテンアメリカの女性表象に関する講座のご案内です。以下、HPより、

ラテンアメリカの女性表現者たちにスポットを当てます。ラテンアメリカ社会は女性をどういう存在として捉えてきたのでしょう。その視座からの報告をふまえたうえで、小説、映画、美術、音楽、演劇といった異なるジャンルで彼女たちは何をどう表現してきたのかを考えます。なぜ、彼女たちは「それ」を「そのとき」に表現しなければならなかったのか。また、作品には、どのように女性性が反映されているのか。こうしたポイントについていくつかの事例をみていきます。


コーディネーター・講師 :上智大学外国語学部教授 吉川 恵美子
日時 木曜日 18:45~20:15   回数 9回
受講料 ¥22,500
定員 40名

【講師】
大越 翼 上智大学外国語学部教授
長谷川 ニナ 上智大学外国語学部教授
松下 直弘 拓殖大学教授
トイダ エレナ 上智大学外国語学部准教授
ネーヴェス マウロ 上智大学外国語学部教授
野中 雅代 青山学院大学講師
八木 啓代 歌手・作家

講義スケジュール
10月 6日 マリンチェあるいは大いなる女性性:「アメリカ」の永遠の課題(大越)
10月13日 19世紀大衆向け印刷物における下層階級の女性像 (長谷川)
10月20日 テレサ・デ・ラ・パラの生涯と作品 (松下)
10月27日 アナ M.マシャードの児童文学 (トイダ)
11月10日 メキシコ映画とブラジル映画における女性監督の活躍 (ネーヴェス)
11月17日 国際都市メキシコの女性画家たち:バロ、キャリントン、フリーダ・カーロ (野中)
11月24日 歌う女性詩人たち~ビオレータ・パラ(チリ)、マリア・テレサ・ベラ(キューバ)、チャブーカ・グランダ(ペルー) (八木)
12月 1日 ネットワークでつながる女性演劇人-〈マグダレーナ・プロジェクト〉- (吉川)
12月 8日 ラテンアメリカの女性表現者たちの魅力を語る (吉川・大越・長谷川・ネーヴェス・八木)

2011年9月5日月曜日

Practica español(セルバンテス文化センターのHP)

9月になって、ラテンアメリカ講座の後期開始まであと2週間と少しになりましたね。
映画祭もいいけれど、自宅で勉強したいな~という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これまでご紹介したことのある、ニュースなどを使った勉強もよいけれど、おもしろそうな教材を見つけたのでご紹介いたします。

セルバンテス文化センターのHPの右側にあるアイコンにPractica Españolというものがあります。
クリックすると、自分のレベルにあわせて、さまざまなニュース教材が用意されています。音声を聞くことができて、テキストも掲載されています。最後にEjericicioがあり、自分の理解をチェックすることも可能です。ただし、試してみたのですが、A1もB1もテキストを読むスピードにあまり差はないように思われます。内容的には差はあるのですが、初心者には厳しいかも? とは言ってもTVEのニュースなどよりはずっとゆっくりのスピードで話してくれるので、テキストを目で見ながらならば、聴解力を高めるにはとてもよい教材に思えます。

普通のニュースを見ても、時に応じてリビア情勢だけを報じていたり、片寄があるので、こうしたニュース素材はとても勉強になる気がしました。

試してみたい場合はこちらからどうぞ

http://www.practicaespanol.com/

第8回ラテンビート映画祭

以前にも紹介しましたが、今年のラテンビート映画祭の上映作品が詳細とともにHPで紹介されています。最新情報のところには舞台挨拶に登場するゲストなどもわかるので要チェックです。

 この日本で唯一のスペイン・ポルトガル語圏映画の祭典は、2004年の初開催以来、ラテンアメリカ講座受講生のあいだでは、必見のイベントとなっており、毎年会場に行くと多くの受講生に出会える場所となっています。例年後期の授業開始直前に行われるため、この映画祭が始まると、「そろそろ後期が始まる」と実感する場ともなっています。
 上映だけではなく、ラテン諸国からやってくるゲストたちによる舞台挨拶やティーチインなども楽しみなユニークな映画祭となっています。

詳細はこちらでどうぞ。
http://www.hispanicbeatfilmfestival.com/lbff2011/top.html

東京:フィエスタ・メヒカナ2011inお台場Tokyo

東京:フィエスタ・メヒカナ2011 in お台場 Tokyoをご紹介します。
今年もお台場でこんな催しが行われる。

★民族音楽と民族舞踊、ファッションショー
★物産の展示即売と飲食コーナー
★ピニャータ割りなどの遊びやクイズ大会
★メキシコ旅行が当たる大抽選会
★メキシコ写真コンテスト

会期:9月23日(祝)、24日(土)、25日(日)
11:00-18:00(小雨決行)
会場:お台場・ウエストプロムナード、アクアシティお台場
問合せ:0422-59-0833 (フォエスタ・メヒカーナ実行委員会事務局)

詳しくは
www.fiestamexicana-tokyo.com/



2011年9月1日木曜日

JICAちきゅう広場でのエルサルバドルに関するイベント紹介

1)セミナー「エルサルバドルと私」  講師:細野 昭雄(JICA研究所所長)日時:9月6日(火曜)18時30分から20時30分



会場:JICA地球ひろば 1階 市民のひろば
主催:駐日エルサルバドル大使館、JICA地球ひろば

9月はJICAちきゅう広場で、中米の「エルサルバドル共和国」を特集するのでご紹介します。

1階体験ゾーンでは民芸品や民族衣装、観光パネル資料などを展示し、同国を紹介しているようです。イベントの第一弾は、オープニングセレモニーとして、駐日エルサルバドル共和国大使館のマルタ・リディア・セラヤンディア次期大使よりご挨拶の後、元駐エルサルバドル大使の細野 昭雄JICA研究所所長による講演「エルサルバドルと私」を行います。

挨拶:マルタ・リディア・セラヤンディア氏 Mrs. Martha Lidia Zelayandia Cisneros
(駐日エルサルバドル共和国大使館 次期大使)

2)セミナー「エルサルバドルのバラの花―『星の王子さま』著者サン=テグジュペリと妻コンスエロの知られざる軌跡」
講師:安藤 二葉氏(版画家、エッセイスト)


日時:9月17日(土曜)14時から15時30分
会場:JICA地球ひろば 1階 市民のひろば
主催:駐日エルサルバドル大使館、JICA地球ひろば

 永遠の名作として世界中で読み継がれる『星の王子さま』。みなさんも一度は読んだことがあるのではないでしょうか?
 この名作の著者、フランス・リヨン生まれのアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの妻が、エルサルバドル人だったことをご存知ですか?
 そして、『星の王子さま』に登場するバラの花のモデルが、そのエルサルバドルのコンスエロ・スンシン夫人だったという説も!?
コンスエロはエキゾチックな魅力を持つ中米美人でしたが、フランスの由緒ある貴族の家柄だったサン=テグジュペリの家族には受け入れてもらえず、彼の伝記の中でも多くを語られていません。しかしながら、『星の王子さま』が生まれた背景には、二人のさまざまなエピソードが隠れていそうです。
 本セミナーの講師、安藤 二葉氏は、自身が青年海外協力隊としてエルサルバドルで2年間暮らしていた経験から、作家サン=テグジュペリにエルサルバドル人の妻がいたことを知り、興味がわいたといいます。今回は、そんな興味から二人の軌跡を訪ねた安藤氏に、エピソードの一部を紹介していただきます。
講師:安藤 二葉氏(版画家、エッセイスト)
【略歴】立教大学文学部フランス語フランス文学科卒業生。ラテンアメリカ研究所OG

3)映画上映会『ROMERO―エルサルバドルの殉教者』

日時: 9月23日(金曜)14時から16時
会場:JICA地球ひろば 3階 講堂
主催: 駐日エルサルバドル大使館、JICA地球ひろば

エルサルバドル共和国
 その国名の意味「救世主」を体現し、唯一の武器「真実」をもって、民衆を守るために戦ったオスカル・ロメロ大司教。70年代、軍部や警察をはじめとする極右勢力のテロが吹き荒れ、軍部と富裕層の結びつきがさらに極端な貧富の差を生んでいました。1977年2月にサン・サルバドルの大司教に任命されたオスカル・ロメロは、当初「政治や社会問題に波風を立てそうにない」という理由で軍部や富裕層に支持されていましたが、就任後、立て続けに起こった事件をきっかけに穏健派から強硬派へと変わります。
 不正な選挙へ抗議した民衆が軍により虐殺されたり、社会活動をしていた身近な神父や多くの農民が相次いで行方不明になったり、殺害されたり、また多くの市民が虐殺されていくのを目の当たりにし、ロメロ大司教は、貧しい人々の声となるべく、軍部と独裁者による過酷な民間人弾圧と政治的暴力に対して「真実」を唯一の武器として、非暴力の戦いを決意します。その後の彼の運命は、そして国の行方はいかに・・・?

 本作品は、非道な政治的抑圧のなかで聖職者と人々が力を合わせ、正義と平和を勝ち取るために戦った実話に基づいています。

 オスカル・ロメロ大司教は「20世紀の殉教者10人」の1人として、ロンドンのウェストミンスター寺院の大西扉に胸像が飾られ、今も多くの人々から敬愛されています。また、2010年の国連総会において、パン・ギムン国連事務総長は、ロメロ大司教の偉大な功績を称え、大司教が人権の侵害と弾圧反対を主張したために暗殺された1980年3月24日から、毎年3月24日を「人権侵害の真相を知る権利と被害者の尊厳を守るための国際デー」と定めることを宣言しました。

 この機会に、歴史的な改革の一端をご覧いただき、その後1992年の和平協定まで続いた内戦の歴史と時代背景、そして現在のエルサルバドルに至る道のりについても考えていただくきっかけになればと思います。

※映画上映時間は105分
定員:250名
参加費:無料

4)セミナー“コーヒーハンター”川島 良彰「僕の人生を変えたエルサルバドル コーヒー」
講師:川島 良彰氏(コーヒーハンター、株式会社Mi Cafeto代表取締役)


日時:9月25日(日曜)16時から17時30分
会場:JICA地球ひろば カフェ・フロンティア 【地図】
主催:駐日エルサルバドル大使館、JICA地球ひろば 協力:株式会社 Mi Cafeto

エルサルバドルの主要産業のひとつ、コーヒー
 日本の九州半分ほどの面積しかない小さな国でありながら、1975年にはアラビカ種(世界全生産量の約70%を占める品種)の生産国として世界3位を記録したこともあり、高度な栽培技術によって、世界最高の単位生産性を誇っていました。
 現在では“コーヒーハンター”として広く知られる川島 良彰氏がコーヒー人生の始まりを過ごしたのも、その時期のエルサルバドル。川島氏がコーヒーを通して見たエルサルバドルを語っていただきます。

※当日は、今年の世界バリスタチャンピオン、エルサルバドル出身のAlejandro Mendez(アレハンドロ・メンデス)氏がゲストで参加予定です。

講演内容:
 ・ エルサルバドルのコーヒーの歴史と産地の説明
 ・ 私とエルサルバドルのコーヒーの関わり
 ・ これからのエルサルバドルコーヒーの行方
 ・ エルサルバドルのコーヒーの解説とデモンストレーション

講師:川島 良彰氏(コーヒーハンター、株式会社Mi Cafeto代表取締役)

対象:ご興味のある方ならどなたでも

定員:50名

参加費:1,500円(エルサルバドルのコーヒー(おかわり自由)、焼菓子「ケサディーヤ」付)
※参加費の一部は東日本大震災の被災地に寄付。

参加方法:下記問合せ先まで、電話またはEメールにてお名前、ご連絡先をお知らせのうえ、お申込みいただくか、または下記の「お申込み」ボタンからお申込ください。
http://www.jica.go.jp/hiroba/event/201109.html#a01-96-01


2011年8月24日水曜日

Jorge Luis Borges生誕112周年記念のロゴ

ボルヘスの生誕記念日(8月24日)に合わせて本日Googleのロゴが変わった。
ロゴを見て、ボルヘスの本を読んでみたいと思う人もいることだろう。
このロゴは明日は変わってしまうので、ここに貼り付けておきます。
明日になってから気づいた人はこちらでご覧ください。

女性たちのつくったうた・・・・ワールドミュージックの館~峰万里恵と仲間たち

高場将美先生からご紹介いただいたライブのご案内です。
チラシのコピーによれば、

遠い土地から・・・過ぎ去った時の中から・・・時空を超えて生きつづける歌たち
――詩の心のこだまを感じてください!

とあります。もちろん高場先生も出演です!
日時:9月10日(土)  18:30開場  19:00開演
会場:東中野space&cafeポレポレ坐
チケット:予約3000円  当日3500円

詳細はこちらにてご確認ください。
http://za.polepoletimes.jp/news/2011/07/2011910.html

2011年8月10日水曜日

映画『低開発の記憶』上映とトークショーのお知らせ

野谷文昭先生のトークショーのお知らせです。
野谷先生が翻訳なさった、エドムンド・デスノエス『低開発の記憶』刊行記念として、映画『低開発の記憶』上映とトークショーが行われます。特に文学受講の皆様はぜひご参加ください。

出演者:野谷文昭(東京大学大学院教授)、比嘉世津子(字幕監修、有限会社Action Inc.代表)
■日時:8月22日(月)19:00開場/19:30開演
■会場:アップリンク・ファクトリー 渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F
 http://www.uplink.co.jp/factory/log/004058.php

□料金:¥1,800(1ドリンク付)
□メール予約方法
(1)お名前 (2)人数 [一度のご予約で3名様まで] (3)住所 (4)電話番号

以上の要項を明記の上、件名を「予約/8月22日『低開発の記憶』」として、
factory@uplink.co.jp までお申し込み下さい。(当日参加も受け付けます)



2011年7月29日金曜日

第8回ラテンビート映画祭開催決定

毎年大学の夏休み中に開催されるラテンビート映画祭の情報です。
今年は9月15日から19日に昨年と同じく新宿バルトで行われます。
プログラムもいくつか発表されています。
今年も素敵な作品が揃っています。

http://lbff.blog129.fc2.com/

2011年7月21日木曜日

ハイチとケベックのあいだで書くこと(作家ダニー・ラフェリエール氏の講演)

夏休み明けの講演会のお知らせです。

日時:2011年10月3日(月)18:30~20:00


場所:池袋キャンパス マキムホール2階 M202教室

講師:ダニー・ラフェリエール氏(作家)

【講師略歴】
1953年、ハイチ生まれ。中等教育修了後ジャーナリストになるが、ジャン=クロード・デュヴァリエの独裁政権下で生命の危険を感じ、1976年、カナダ・ケベック州(モントリオール)に移住。工場などで働きながら、1985年、『間違いだらけの恋愛講座』で作家として華麗にデビューする。同作品はベストセラーになり、1989年には映画化もされる。90年代は一時マイアミに居を移すが、2002年よりモントリオールに戻り、2008年に『我が輩は日本作家である』を発表。日本文学への造詣も深い。2009年にはハイチへの一時帰郷をテーマにした『帰還の謎』(邦訳近刊)がケベックとフランスで同時発売されて、モントリオールで書籍大賞、フランスでメディシス賞を受賞し、世界的作家としての地位を固める。2010年1月、たまたまハイチの首都ポルトープランスに滞在していたときに大地震が発生。同年3月には、現地の様子を臨場感あふれる時評にまとめた『私の周りですべてが揺れる』を発表。2011年9月末から10月初めにかけて、ケベック州政府在日事務所と日本ケベック学会の招聘により来日予定。

対象者 本学学生、教職員、校友、一般

※申込不要、入場無料

同じく、日仏会館でも講演会が行われます。
http://institut.jp/ja/evenements/11067

2011年7月9日土曜日

伊高浩昭の読書日記~フランシスコ・アヤラ著『仔羊の頭』(現代企画室)

 スペイン内戦(1936~39)で数多くの知識人がスペインを去り、スペイン文化に大きな穴が開いた。この世代的な知性の空洞は依然埋まっていない。否、永遠に埋まらないだろう。内戦中から勝利者の側に付いて出国しなかった凡庸で右翼的な作家たちが空洞を埋めることなど所詮不可能だったし、後継作家群には生まれた時代の隔絶があって、空洞を埋めようにも埋められないからだ。本書の著者フランシスコ・アヤラ(1906~2009)は空洞を築いた作家の代表的な一人である。著者は「亡命作家」と呼ばれることに違和感を抱いていたが、スペイン語文学界のノーベル文学賞とも位置づけられるスペイン政府のセルバンテス賞を1991年に受賞したことで、スペイン人作家としてのアイデンティティーを<奪回>した。内戦を起こしたフランシスコ・フランコ(1892~1975)に代表されるスペインファシズムに翻弄され、スペイン文化とりわけ文学の歴史を空洞化せざるを得なかったアラヤだが、亡命地から遠近法を駆使して書いた一連の作品で同賞を受賞したことで、空洞の上に<連続性>の橋を架けたのだ。


 1978年に出版された本書は、五つの短編で構成されている。第一作『言伝』(1948)は、見知らぬ旅人が宿に残した一片の謎の紙切れ(言伝)をめぐる話。目撃者たちが旅人についてさまざまな証言をするが、まったく要領を得ず、旅人像が定まらない。物語の展開は単調かつ執拗だが、作家の筆力を伝える訳者の実力によって一気に読まされてしまう。私は、芥川龍之介の原作に基づく黒澤明の名画『羅生門』(1951)を真っ先に思い浮かべた。旅の夫婦が藪の中で盗賊に襲われるが、この事件の証言者たちがみな異なる意見を述べ、真相はわからない。両作品はよく似た展開で、こうしたことはよくあるのだろう。紙切れの内容は最後まで明かされず、気にかかる。訳者によると、作家は生前、「言伝は、来るべき内戦を指す」と明かしていたという。鬼気迫る思いがする。

 第二作『タホ川』(1949)は、内戦中、無抵抗の共和派民兵を殺害したことで後ろめたい思いを抱き続ける反乱軍将校の話。無意味な殺害に、内戦の非人間性と空しさが重ね合わされている。タホ川はリスボンの畔をテージョ川となって流れ、大西洋に注ぐ。スペインとポルトガルの長期独裁体制を結ぶ象徴的な川だった。第三作『帰還』(1948)は、内戦で敗者となった共和派の人々の、忘れたくとも忘れられない恐怖と悪夢を描く。私は、スペイン前政権(アスナール国民党右翼政権)時代にバルセローナで共和派だった高齢の生存者たちに会ったことがあるが、彼らは「右翼政権になって迫害の恐怖が甦った」と言っていた。彼ら「敗残者」の名誉が回復されたのは、2007年になってからだ。

 第四作『仔羊の頭』(1948)は 深く濃い隠喩が効いた圧巻だ。モロッコを訪れた主人公が、「親戚」だと名乗る一家に招かれた夕食会で口にしたまずい羊料理で消化不良に陥る。その一家にせがまれて、封印していた内戦中の身辺の出来事を渋々語り、内省する。夜半激しく嘔吐するが、翌朝、「消化不良が原因の悪夢」から立ち直り、前を向いて生きていく。第五作『名誉のためなら命も』(1955)は、壁の中に隠れて内戦終結を待った実在の人物の有名な実話を基にしている。五作全編を通じて静かな筆致で描かれており、内戦で翻弄された人々の苦悩が浮かび上がる。 

2011年7月6日水曜日

アレイダ・ゲバラ医師来日へ

    革命家エルネスト・チェ・ゲバラの娘アレイダ・ゲバラ=マルチ小児科医(50)が、医療関係組織などの招きで、7月21日から8月11日まで来日することになった。08年5月、10年10月に次ぎ3度目の来日で、東日本大地震の被災地を訪問し、広島と長崎の原爆記念式典に出席する予定。

    亡き父チェ・ゲバラの未公開の日記『ある戦士エルネスト・チェ・ゲバラの日記ーー1956~58年、マエストラ山脈からサンタクララまで』の刊行が6月半ば発表され、娘アレイダの友好親善活動も新たに注目されている。この日記本は、アレイダの母アレイダ・マルチが所長を務める「チェ・ゲバラ研究所」が発行元となっている。来年までに世界各地で売り出される見通しだ。

伊高浩昭  

2011年6月27日月曜日

高場先生の授業が受けたい!

高場先生からのお便りを掲載します。
高場先生のライヴに、ときどき受講生が聞きに来るということを伺いました。

今週は、7月9日(土)、東京・高田馬場のスペイン・バル《Olé(オレ)》で、『メキシコと中南米の夜~あなたが わたしといっしょに 生きるなら~』と題するライヴがあるそうです。。


 副題は「あなたが わたしといっしょに 生きるなら Cuando vivas conmigo 」
 高場 将美先生(ギター、MC)と峰万里恵さんのライヴです。

『あなたがわたしといっしょに生きるなら』
『ノ・ボルベレー(わたしはもう帰ってこない)No volveré 』
『20年 Veinte años 』
『人生にありがとう Gracias a la vida 』
『インディア India 』
『じぶんの土地へのセレナータ Serenata para la tierra de uno 』
ファドも歌うそうです。

詳細はこちらからどうぞ
http://mariemine.web.fc2.com/activity.html#ole

2011年6月20日月曜日

伊高浩昭の読書日記(No.3)

イタリア「ネオレアリズモ」文学とスペイン内戦

    イタリアには、1940年代初めから20年余り、文学上の「ネオレアリズモ」の時代があった。エーリオ・ヴィットリーニの『シチリアでの会話』(1941年3月)と、チェーザレ・パヴェーゼの『故郷』(同年5月)が、その潮流の初期の時代の双璧とされる。私はスペイン内戦を題材にした文学を読みあさるうちに『シチリアでの会話』にたどりつき、さらに『故郷』まで読み進んだ。

    『シチリアでの会話』(2005年、岩波文庫)は本文300ページ、解説120ページで、解説の重みが際立っている。それもそのはず、作品の全編が巧妙かつ難解で厚い隠喩(暗喩)で覆われており、作品の時代と異なる時代に生きる大方の異邦人には、一読しただけでは、作者の真に意図するところがわからないのだ。私もそうだった。

    ヴィットリーニは、ムッソリーニ率いるファシズム独裁下で、この物語を書いた。その大きな動機は、1936年に近隣のスペインで勃発した内戦だった。この内戦はイタリア人にファシズムの実態を知らしめ、反ファシズム闘争の在り方を強烈に印象付けた。ファシスト党に入党していたヴィットリーニは、スペイン内戦を教訓として、反ファシズムに生まれ変わるのだった。

    作者は、厳しい検閲の網をかいくぐり、発禁処分すれすれのところで、文章技術を駆使して、この作品をものにした。だから、ほぼ全文が<暗喩の仮面>に隠されたのだ。一読後、訳者の鷲平京子の書いた深く読みごたえのある解説を読み、再度、作品を読み直す。こうして理解に到達する。

    『故郷』(河島英昭訳、2003年、岩波文庫)のパヴェーゼもファシスト党に入党したが、後に除名される。パヴェーゼはペンの力で、ファシズム体制に揺さぶりをかけようとした。スペイン内戦はネオレアリズモの作家たちを通じて、イタリア・レジスタンス運動(1943~45)に少なからぬ影響を及ぼしたのだ。

    私は1972~74年のペロン・アルゼンチン政権復活期にペロンを取材し、ペロンがムッソリーニから受け継いだファシズムの「第三の道」論を依然堅持しているのを確認した。そしてペロンは、1950年代に政権を追われてから70年代前半に復権して死ぬまで、スペイン内戦で勝ちファシズム体制を敷いたフランシスコ・フランコ総統のスペインで、長らく安楽な亡命生活を送っていた。

    イタリアにネオレアリズモは生まれたが、ナチス時代のドイツと天皇制軍民全体主義の日本に「ネオレアリズモ」のような潮流があったとは聞いたことがない。ヒトラーや、日本の集団的独裁と異なり、どこか滑稽で抜けたところのあったムッソリーニのイタリア故に、ネオレアリズモが生まれる隙間があったのだろうか。

2011年6月20日、伊高浩昭

追加情報
この記事の本は、立教大学の下記の図書館で貸し出し可能です。
1)エーリオ・ヴィットリーニの『シチリアでの会話』(岩波書店、2005)岩波文庫、図書館本館閲覧室
2)チェーザレ・パヴェーゼの『故郷』(岩波書店、2003)岩波文庫、図書館本館閲覧室



    

2011年6月17日金曜日

ポルトガル映画祭~マノエル・ド・オリヴェイラとポルトガル映画の巨匠たち

アテネフランセ文化センターで開催されるポルトガル映画祭についてお知らせします。有料ではありますが全作品日本語字幕付き、数多くのポルトガルの映画に触れるチャンスです。


■料金
一般=1回券1200円/5回券5000円
アテネ・フランセ文化センター会員=1回券1000円/5回券4000円

■上映スケジュール 
7月29日(金)
14:50-  「アニキ・ボボ」1942(71分)   監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
16:30-  「春の劇」1963(91分)      監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
18:30-  「過去と現在 昔の恋、今の恋」1972(115分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ

7月30日(土)
12:20-  「カニバイシュ」1988(101分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
14:30-  「神曲」1991(142分)       監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
17:30-  「黄色い家の記憶」1989(122分)   監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ

8月2日(火)
13:20-  「ラスト・ダイビング」1992(91分)    監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ
15:20-  「神の結婚」1999(154分)        監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ
18:30-  「トラス・オス・モンテス」1976(111分)  監督/アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ

8月3日(水)
13:10-  「骨」1997(98分)    監督/ペドロ・コスタ
15:20-  「トランス」2006(126分)   監督/テレーザ・ヴィラヴェルデ
18:00-  「私たちの好きな八月」2008(149分)  監督/ミゲル・ゴメス

8月4日(木)
14:30-  「春の劇」1963(91分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
16:30-  「過去と現在 昔の恋、今の恋」1972(115分)   監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
19:00-  「カニバイシュ」1988(101分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ

8月5日(金)
13:30-  「神曲」1991(142分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
16:30-  「黄色い家の記憶」1989(122分)  監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ
19:00-  「ラスト・ダイビング」1992(91分)  監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ

8月6日(土)
14:00- 講演(入場無料) 「ポルトガル映画と上演の映画」  講師/赤坂大輔(映画批評家)
15:30-  「神の結婚」1999(154分)  監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ
18:30-  「トラス・オス・モンテス」1976(111分) 監督/アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ

8月9日(火)
13:20-  「トランス」2006(126分)  監督/テレーザ・ヴィラヴェルデ
16:00-  「私たちの好きな八月」2008(149分)   監督/ミゲル・ゴメス
19:00-  「アニキ・ボボ」1942(71分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ

8月10日(水)
13:20- 「過去と現在 昔の恋、今の恋」1972(115分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
15:50- 「カニバイシュ」1988(101分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
18:00- 「神曲」1991(142分) 監督/マノエル・ド・オリヴェイラ

8月11日(木)
13:30- 「黄色い家の記憶」1989(122分)   監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ
16:00- 「ラスト・ダイビング」1992(91分)    監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ
18:00- 「神の結婚」1999(154分)        監督/ジョアン・セーザル・モンテイロ

8月12日(金)
14:00- 「トラス・オス・モンテス」1976(111分) 監督/アントニオ・レイス、マルガリーダ・コルデイロ
16:20- 「骨」1997(98分)  監督/ペドロ・コスタ
18:30- 「トランス」2006(126分)  監督/テレーザ・ヴィラヴェルデ

8月13日(土)
13:10- 「私たちの好きな八月」2008(149分)   監督/ミゲル・ゴメス
16:10- 「アニキ・ボボ」1942(71分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ
18:00- 「春の劇」1963(91分)  監督/マノエル・ド・オリヴェイラ

映画の内容については
アテネフランス文化センターまで
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/p/pt.html

2011年6月8日水曜日

上智大学講演会「在日ブラジル人と東日本大震災 —被災地支援への取り組み—」

上智大学イベロアメリカ研究所が主催する公開講演会のお知らせです。

テーマ: 在日ブラジル人と東日本大震災 —被災地支援への取り組み—
演者:  茂木 真二・ノルベルト (有限会社茂木商事代表取締役、NNBJメンバー)
      アナ・エリーザ・ヤマグチ (上智大学外国語学部助教)
概要:  2008年のリーマンショック後、就労・住居・健康等の面でブラジル人労働者を支援するという目的により、ブラジル人有志、起業家、ボランティア団体などで構成されたNNBJ(Network Nacional dos Brasileiros no Japão —全国在日ブラジル人ネットワーク)というネットワークグループが設立されました。3月11日の震災後、NNBJのコアメンバーが再び集合し、「Brasil Solidário(連帯ブラジル)」を発足し、災害に遭ったブラジル人および日本人被災者の支援活動に取り組んでいます。NNBJ以外にも日本全国の様々な場所から支援目的でブラジル人グループが被災地を訪れています。本講演では、地震直後に現地へ行き、現在でも支援活動を続けている茂木真二・ノルベルト氏にその取り組みや、活動動機についてお話しいただきます。更に、震災が在日ブラジル人に与えた影響を考え、これからの彼らの日本での生活について検討します。

日時: 2011年6月30日(木)17:30〜19:30
場所: 上智大学中央図書館総合研究棟8階L-821会議室
言語: 日本語
参加費無料・予約不要
主催:上智大学イベロアメリカ研究所

2011年6月4日土曜日

ネルーダの死因は癌か、それとも毒殺か?

   チリのノーベル文学賞詩人パブロ・ネルーダ(1904~73)の死因解明調査が実施されることになった。法廷は6月2日チリ共産党の提訴を受けて、法医学当局に必要な措置をとるよう命じた。ネルーダは、バルパライソ南方の太平洋岸にあるネルーダの邸宅「イズラ・ネグラ」の庭に、妻マティルデと並んで眠っているが、死因調査には遺体の点検が不可欠であり、遺体が発掘される見通しとなった。

   なぜこのようなことになったかといえば、法廷が5月、サルバドール・アジェンデ大統領の死因調査を命じ、その遺体が発掘され、調査過程に入ったことから、「ネルーダの死因調査も」ということになったのだ。アジェンデは1973年9月11日のピノチェーらによる軍事クーデターのさなか、炎上する政庁内で死んでいった。自殺説が定着しているが、いま敢えて①自殺②銃による自殺を試みたが死にきれずぶ部下が止めの1発を頭部に撃ち込んだ③他殺――のいずれが死因か、慎重に調査している。

   この動きを受けて、ネルーダの側近で運転手も兼ねていた人物が、メキシコ誌「プロセソ」に、「ネルーダは首都サンティアゴにあるサンタマリーア診療所で毒物を注射されて殺害された疑いが濃厚」と語った。当時のチリ駐在のメキシコ大使も、「メキシコへの亡命を促すため診療所でネルーダに会ったが、彼は元気で病室内を歩いていた。その翌日ネルーダは死んだ」と証言した。従来ネルーダは「前立腺癌の悪化」が死因とされてきたが、アジェンデの死の直後の1973年9月23日に死んだのが「あまりにも唐突で不自然だ」と元側近や本大使は主張している。このためネルーダが所属していた共産党が5月末に死因調査を求めて訴えたのだった。

   背景には、1982年に同じサンタマリーア診療所で、エドゥアルド・フレイ元大統領が毒殺された事件が先に発覚した事実がある。フレイはアジェンデの前の大統領で、ピノチェー軍政に反対していた。ネルーダの側近が言うには、ピノチェーはネルーダが生きている限り、反ピノチェーの象徴的存在になりうるとして、ネルーダを毒殺したとみている。もし毒殺が証明されれば、チリ現代史は書き変えられることになる。

   ところで私は、本文を「読書日記」の一環として書くつもりだった。私はネルーダが大好きで、ピースボートに乗れば必ず、朗読会を催す。ことし3月にも船上でそれをしたが、そのとき中心になって読んでくれたのは、新劇女優の入江杏子(本名・入江久恵)さんだった。その入江さんから著書『檀一雄の光と影』(1999年、文芸春秋社)を署名入りでいただいた。それを読んで驚いた。彼女こそ、檀一雄の話題作『火宅の人』(1975年新潮社)のヒロイン「矢島恵子」のモデルだったのだ!

   船内で4月には、昔のペルシャの詩人オマル・ハイヤームの『ルバイヤート』の全編朗読会を開いたが、この時も入江さんが中心だった。ことし84歳の高齢だが、さすが女優である。船上での光栄な出会いだった。さっそく『火宅の人』を36年ぶりに読み直そうと思ったが、探しても見つからない。見つかり次第、必ず読む。

(2011年6月4日)  伊高浩昭   

2011年6月3日金曜日

Mario Vargas Llosaの講演

伊高先生が読書日記で質問したいと言っている、ノーベル文学賞受賞のMario Vargas Llosaの講演会についてお知らせします。

1)マリオ・バルガス=リョサ講演:『都会と犬ども』から『ケルト人の夢』まで
日時:6月21日(火) 18時より
会場:セルバンテス文化センター
お申込みはこちらから(座席はすでに満席ですが、図書館での中継があるようです。こちらもほぼ満杯) 事前予約必要

2)マリオ・バルガス=リョサ講演『文学への情熱ともうひとつの現実』
日時:6月22日(水) 14時(開場13時)
会場:東京大学本郷キャンパス 法文2号館2階1番・2番大教室(定員有)
事前予約必要  詳細は現代文芸論研究室まで

2011年6月1日水曜日

伊高浩昭の読書日記(No.2)

   あるメキシコ人作家の『愛のパレード』という翻訳書を読んだ。私にとっては駄作だった。スペイン政府主催のセルバンテス賞の受賞作家の作品だというが、この小説に関する限り、この賞の受賞者の作品とは思えない内容だ。この小説には、主人公をはじめたくさんの人物が登場し、相互に複雑に絡み合う。ミステリー仕立ての物語の展開はあるが、人間が描かれていないのだ。登場人物たちは盛んに動き回るが、それらの人物には血が通っていない。ただ分厚い紙数とともに物語が進むだけで、読むのが苦痛だった。

   近年、スペインやラ米の作家たちの小説をある程度読んできたが、この種の「人間が描かれていない」ものがやたらに目立つ。ガブリエル・ガルシア=マルケス(GGM)、マリオ・バルガス=ジョサ(MVLL)、カルロス・フエンテス(CF)ら、ラ米大作家時代の作家たちはまだ何人か健在だが、後続の作家群が大作家になれないわけ、大作家たちを超えられない理由がわかろうというものだ。

   たとえば、GGMの『百年の孤独』(私は『孤独の百年』が適訳だと思うが)を真似した「百年単位」で物語を展開させる手法がやたらにはやっている。だが、それらの「亜流」では、人間が機械仕掛けの人形のように動くだけで、人生観、世界観、信条、苦悩、情感などがほとんど描かれていない。描く能力がないのか、描く必要はないと思っているのか、どちらかだろう。それとも、時代がすっかり変わってしまい、非人間的なこの世の中には、人間などいなくなってしまった、とでも言いたいのか。

   この種の「無機物のような小説」は、やたらに衒学的、多弁駄弁を弄するものが多く、空しいだけだ。500ページを上回る大部が少なくないが、ボルヘスならば半ページもあれば処理するのに十分な内容だろう。ハードボイルド風の主人公が出てきても、チャンドラーが世に出したような、苦悩しつつ現代社会を生きる主人公とはまったく異なり、ひたすら物語のなかを泳ぎ動き回るだけなのだ。

   「語彙の多さ」や「修辞の美」を誇るスペイン語国民の作家たちであるはずなのに、言葉をやたらに並べるだけで、「真の美」つまり生きた人間の登場する小説が書けなくなってしまったのは何故なのか。セルバンテス賞も、選考委員たちの審美眼も変わってしまったのだろうか。6月末にMVLLが来日する予定だが、機会があれば、これらの点を質問してみたい。

2011年5月27日金曜日

マゼラン最初の世界一周航海記(伊高浩昭読書日記より)

   先ごろ岩波書店から『マゼラン最初の世界一周航海』(長南実訳)という文庫本が出て、一気に読んだ。私はことし1~4月、横浜を出航し東回りで横浜に帰航する86日間の世界一周航海を経験し、太平洋と大西洋でマゼランの航路を横切ったことや、かつてマゼラン海峡を2度航行したことから、この本の内容に強い関心があったのだ。

   ポルトガル人フェルナン・デ・マガリャンイス(1480?~1521、英語名ファーディナンド・マジェラン=日本語でマゼラン)は5隻の船団を率いて1519年8月10日セビージャ港を出港し、翌年10月21日、南米南端地方で、とある波荒い入江に到達した。その奥の水路を用心深く進むと、11月28日太平洋に出た。マゼランは「パタゴニア海峡」と名付けたが、後に「マゼラン海峡」と命名された。

   船団はフィリピンに行くが、マゼランは1521年4月26日、セブ島の東にあるマクタン島で先住民族の領主に戦いを挑み、戦死する。部下のセバスティアン・デルカノら18人がビクトリア号で1522年9月8日セビージャに帰還し、世界初の地球一周航海が3年で完成した。

   この本は、その18人の一人でイタリア人のアントニオ・ピガフェッタの手記と、スペイン国王秘書マクシミリアーノ・トランシルヴァーノがデルカノら3人の乗組員から聞き書きした文章で構成されている。一行が出会った各地の先住民族の風俗やキリスト教への反応の描写が面白い。欧州で当時流行していた怪物伝説に悪乗りしてか、ピガフェッタが「ある木の落ち葉は生きていて、歩きだす」、「この島の住民の耳は体と同じ大きさで、片方の耳を寝床にし、もう片方の耳を体にかぶせる」などと書いているのには失笑を禁じえない。

   スペイン・ポルトガル両王国の海洋権益をめぐる敵対関係や、それと関連して起きたポルトガル人マゼランに対するスペイン人乗組員らの反発と裏切りについての記述も興味深い。両王国はローマ法王の仲介で1494年、世界を二分するトルデシージャス条約を結び、東航(アフリカ周りアジア航路)がポルトガルの領分となったため、スペインは西航(南米周りアジア航路)に乗り出さねばならなかった。香料諸島と呼ばれたモルッカ諸島(現インドネシア領マルク諸島)にたどりつき、欧州で高価な丁子、肉桂、ニクズクなどの香辛料を本国に大量に運び込むのが最大の目的だった。

   マゼランの狙いもそこにあり、香辛料を船に積んだらパタゴニア海峡経由で帰航してもよかったのだ。だが諸島に到達する前に命を落とし、部下たちがポルトガル艦隊に襲撃される危険を冒して喜望峰を回り、結果として世界一周航海を成し遂げたのだった。スペインは1492年にインディアス(新世界アメリカ)に到達していたが、当初は米大陸よりも香料諸島への関心の方が強かったという。

   ラ米学徒には必読の本である。ぜひ読まれんことを。伊高浩昭(2011年5月27日)

2011年5月20日金曜日

平和・コミュニティ研究機構の連続講演会のお知らせ

立教大学平和・コミュニティ研究機構より、連続講演会「原発社会に未来はあるか?」の案内をいただきましたので、お知らせいたします。

★第1回講演会 「原発という選択のあやうさ-福島第一原発事故とその背景-」
日時: 5月26日(木)18:00~20:00
会場: 太刀川記念館3階
講演: 菅井 益郎氏(國學院大學 経済学部 教授)
概要: 今回の原発事故によって、ようやく原発問題を自分たちのこれからの社会の問題として正面から議論できるようになりました。
今回は技術面もふくめて原発問題の全体像、これまでの歴史を、長年にわたって原発、東京電力、政府を批判し、取り組んでこられた菅井教授にお話しいただきます。

【会場へのアクセス】 http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/
【立教大学キャンパスマップ】 http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/
【参加費】無料
【お申込み・お問合せ】不要
【主催】 立教大学平和・コミュニティ研究機構
----------------------------------------------------------------------------------------

第2回目以降、次のような講演会です。
変更の可能性もありますので、事前に立教大学平和・コミュニティ研究機構ホームページにてご確認下さいますようお願い致します。

http://www.rikkyo.ac.jp/research/laboratory/IPCS/

★第2回 「原子力発電と地方自治」
講演: 佐藤栄佐久氏(前福島県知事) http://eisaku-sato.jp/blg/
日時: 6月11日(土)14:00~16:00
会場: 8号館 8101
概要: 原子力発電を受け入れることは地方自治体にとっては重大な決断である。福島県前知事として原発の受け入れ、安全の確保にどのように苦闘したのか、また東京電力や安全・保安庁、検察庁はどのように対応したのか。『知事抹殺』(平凡社)の著者がその経緯と被災・事故後に福島県各地を歩いた思いを語る。

★第3回 「原発なしでも大丈夫ですか?-エネルギー基本計画の失敗と転換の必要性-」
講演: Andrew DeWit氏(本学経済学部 教授)
日時: 6月16日(木)17:00~19:00(18:15~20:15に変更の可能性あり)
会場: 8号館 8101
概要: 震災後の日本において、従来のエネルギー基本計画が変更を迫られ、エネルギー転換が不可避の現実となっている。エネルギー政策における制度選択およびその政策決定過程について、歴史的制度選択の観点から分析する。

言語: 日本語

★第4回 パネルディスカッション「世界は『フクシマ』をどう受け止めたか」調整中

メキシコ歴史文化講演会のお知らせ。

■メキシコ歴史文化講演会「悲劇のメキシコ皇帝マクシミリアン一世」

「メキシコ-日本アミ-ゴ会」が、「メキシコ独立200周年・革命100周年」を記念して開催する講演会です。8月と9月にも開催される予定です。

講師:菊池 良生(キクチ ヨシオ)明治大学理工学部教授
日時: 5月27日(金)18:00~20:00
場所:在日メキシコ大使館別館5階 エスパシオ・メヒカ-ノ
講演要旨:メキシコ皇帝マクシミリアン一世といっても、メキシコ政府官許などの歴史書を紐解いても皇帝マクシミリアンの名は見当たらない。代わりにたった一行、「ヨーロッパ列強の手先となって、メキシコ干渉戦争に暗躍したオーストリア大公フェルディナンド・マクシミリアンはその廉で、1867年6月19日、ケレタロ郊外で銃殺された」とある。しかしそれにしても、なぜヨーロッパ屈指の王家ハプスブルク家の、しかもオーストリア皇帝の弟という折り紙つきのプリンスが本国を遠く離れたメキシコで銃殺されたのか? 旧世界と新世界の対決の犠牲となったのか? その謎を追ってみたい。

※先着順80名様まで。参加費:無料

【お問合わせとご予約先】  
メキシコ・日本アミーゴ会事務局
info@mex-jpn-amigo.org

2011年5月18日水曜日

講演会「植民地時代メキシコの先住民文書を読む」

『植民地時代メキシコの先住民文書を読む』
講演者:ミシェル・オーダイク博士(メキシコ国立自治大学文献学研究所先住民言語セミナー主任研究員)

上智大学イベロアメリカ研究所主催の講演会をお知らせします。

オアハカ地方の植民地時代先住民文書研究で国際的に著名な、メキシコ国立自治大学文献学研究所先住民言語セミナー主任研究員のミシェル・オーダイク博士の講演会です。

先住民文書研究の具体的研究プロセスを紹介してくださるそうです。

日時: 2011年6月2日(木)17:30〜19:30
場所: 上智大学中央図書館総合研究棟8階L-821会議室
言語: スペイン語(通訳なし)

参加費無料・予約不要

詳細はこちらまで、
http://www.info.sophia.ac.jp/ibero/

2011年5月11日水曜日

講座を受講するにあたって

2011年のラテンアメリカ講座が始まった。先週はその第1回目。第1週はお試し授業なので、新規講座があると、見学に行く人が多い。こうした時期に、時々質問を受けるのが、
「わたしにはこのクラスを受講する資格があるのだろうか?」というものである。

聞かれた場合には、こう答えている。
「ラテンアメリカ講座ではレベル分けテストをしていません。例えば、同じ授業を何回も受けて完全に理解したい人は翌年もまた同じ授業を取る。ちょっと難しいなと思う授業も、自分は語学の勉強は得意だし今年はたくさん時間が取れそうだから挑戦してみる。今年は仕事が忙しいので予習ができないから、レベルを少し下げて下のクラスを受ける。復習のために初級を受けてみる・・・など、各自の現在の状況に応じて受講できるようにするためです。」

語学の場合は上記の答えでほぼ当てはまるような気がする。

講義課目の場合はどうだろう。これはまったく私見にすぎないので、ここに書くのはどうかなと思ったのだが、聞かれれば答えるので、今年は書いてみる。

これについては講義内容の難しさよりも、内容に興味が持てるかどうかが一番大事であると思う。
たとえば、ラテンアメリカ論1のようにたくさんのレポートを要求される場合であっても、毎回の授業を楽しめるようであれば、書くことは容易なのではないだろうか。自分を触発してくれる授業のテーマなら、自分もきっと語りたくなるだろうし書きたくなるだろうと思う。

ラテンアメリカ論2のように、ニュース解説的な授業の場合はどうだろうか。
その話を聞きたいかどうかが一番大切なような気がする。
どんなに難しい話だったとしても(たとえば、今なら放射性物質に関する話など)、興味がある話ならば、誰でも熱心に聴いているのではないだろうか。

文学の場合はどうだろうか。
かりにラテンアメリカ文学を一度も読んだことがなくても、年間何百冊も様々なジャンルの文学を読み漁っている人は? クラスに出席して話を聞いてワクワクする人はどうだろうか。一度もラテンアメリカ文学を読んだことがなくて、受講する自信がない場合は、今週から読むことになっている、新潮社から出ているガルシア・マルケス「予告された殺人の記録、十二の遍歴の物語」を読んでほしい。2~3日で読み通して、その世界にハマるようなら、きっと楽しい受講ができると思う。

2011年5月9日月曜日

日本のためのチャリティ・ブッフェ・ディナー

日本在住のラテンアメリカ出身者有志が、東日本大震災の被災者に募金を送るため、チャリティ・イベントをご紹介します。

日時 5月21日(土) 18時半から21時
場所 メキシコ大使館内 エスパシオ・メヒカーノ
参加費(寄付) 1万円
定員 100名

当日は各国の料理に加え、南米アーティストのエンターテイメントが楽しめるそうです。
集められた寄付金は当日、日本赤十字社に寄付されるそうです。

申込・お問い合わせ: todosconjapon2011@hotmail.com

紹介ビデオはこちらです。
http://www.youtube.com/watch?v=BIqta5HTnQA&feature=share

この紹介ビデオのサイトから、興味深いLatinoComunityの動画へもアクセスできます。

2011年5月2日月曜日

シネマ・ノーヴォ  グラウベル・ローシャ・ベスト・セレクション

ブラジルの映画監督、グラウベル・ローシャのベストセレクション上映予定のお知らせです。
詳細は以下のホームページをご覧ください。

http://sky-way.jp/rocha/

2011年4月28日木曜日

「黒い伝説」におけるスペインとアメリカ世界―神話と伝説―

上智大学イベロアメリカ研究所で開催される講演会のお知らせです。

講演者は、Francisco Garcia Serrano博士で、サン・ルイス大学マドリッド校でイベロアメリカ研究部長として歴史学の教鞭を執られています。ご専門は、スペイン中世史です。今回のテーマは、有名な「黒い伝説」です。スペインが行ったアメリカ大陸における征服活動、植民地
経営に対して、敵対する他のヨーロッパの国々は否定的な評価を下し、これは「黒い伝説」
として広く流布しました。この「伝説」は当時のみならず、今日に至るまで政治や学問の世
界に少なからぬ影響を及ぼし続けていることに注目し、その神話と現実について分析して
いただけるそうです。言語はスペイン語のみで通訳はありませんが、このテーマを研究している方々には必見です。

2011年5月12日(目) 17:30~19:30
上智大学中央図書館8階821会議室
参加費無料:予約不要

詳細はこちら
http://www.info.sophia.ac.jp/ibero/

2011年4月23日土曜日

カリブ海とクナ族のモラ展

 

パナマのカリブ海沿岸に暮らすクナ族の「モラ」アップリケ刺繍の展覧会のご紹介です。

 世田谷区三軒茶屋にある、世田谷文化情報センター「生活工房」において、「7 つの海と手しごと展」が開催され、その最初に、パナマのカリブ海沿岸に暮らす先住民・クナ族の、「モラ」という民族衣装に施された美しいアップリケ刺繍の展覧会が開催されます。講演会もあります。

 詳細は下記のウェブサイトをご覧ください。

 http://www.setagaya-ldc.net/modules/events/event_detail.php?id=33

2011年4月18日月曜日

波路はるかに~伊高先生の船上レポート(22)最終回

 PBオセアニック号は4月15日正午石垣島沖、16日正午奄美大島沖、17日正午四国沖を通過し、現在は紀伊半島の北東端沖をかすめつつある。1月23日に始まったピースボートの世界一周航海も86日目の明日、横浜港に帰着して終わる。欧州の航海者たちが16世紀に経験した世界一周航海を、私は500年後に果たしたことになる。今航海は、私の世界観を補強する貴重で具体的な材料になった。

 ここで久々にラ米情勢を2題語りたい。一つは4月16日、キューバ共産党第6回大会がハバナで開かれたことだ。その意義については、『世界』(岩波書店)4月号に書いたが、市場制度を導入して経済改革をし、社会主義体制の存命を図ることだ。16日は、フィデル・カストロが社会主義革命宣言をした日の50周年に当たる。

 開会演説で、ラウール・カストロ共産党第2書記(国家評議会議長)は、長文の中央委員会報告を行なった。冒頭で、「我々は米国の鼻先で社会主義革命をやった。労農諸君、これは貧者の、貧者とともにある、貧者のための社会主義革命であり民主主義革命だ」というフィデルの50年前の発言を掲げて、「その革命を活性化するのが大会の目的だ」と強調した。19日まで続く党大会の様子は、5月の講座で細かく話したい。

 もう一つは、4月10日に実施されたペルー大統領選挙についてだ。民族主義者の元軍人オジャンタ・ウマーラ(48)=ペルー勝利党=が得票率31%で一位、アルベルト・フジモリ元大統領の長女で国会議員のケイコ・フジモリ(35)=2011年の力党=が同23%で2位になり、2人が6月5日実施の決選投票に臨むことになった。

 トレード前政権で経済相と首相を経験した米国よりのペドロ・クチンスキ(大転換のための同盟)18%、前大統領アレハンドロ・トレード(ペルー可能党)15%、元リマ市長ルイス・カスタニェーダ(国民連帯党)9%、その他6人の泡沫的候補が敗れた。クチンスキ、トレード、カスタニェーダの新自由主義経済信奉者3人の敗北は、ペルーの貧困層が「野蛮な資本主義(新自由主義)」に強い不満を抱き続けていることを示した。新自由主義路線を継承したガルシア現政権への強烈な反対の意思表示でもある。

 ウマーラとフジモリは、いずれもアンデス高地など貧困率の高い地方部で票を伸ばした。ウマーラは前回大統領選挙でも得票1位になりながら、「急進性」を警戒されて、2位のアラン・ガルシア現大統領に決選で勝利を持っていかれた。ペルーの保守、有産、親米層がこぞってガルシア支持に回ったからだ。ウマーラは「チャベス(ベネズエラ大統領)寄り」と悪宣伝されたのが響いた。ウマーラはこの敗退に学び、決選に向け多数派工作のため柔軟な交渉姿勢を見せている。

 ケイコも同じだ。得票3位以下の3候補の票をより多く獲得しなければならないからだ。ケイコは、「独裁者にして犯罪者の父大統領の娘」、「大統領になるのは服役中の父親を恩赦するため」などの攻撃をかわして2位に滑り込んだ。ウマーラオ同様、都市の中産層を引き付けるのに躍起だ。

 念願のノーベル賞を去年やっとものにした作家マリア・バルガスジョサが代弁者の役割を果たしているペルーの保守・右翼・有産層は、今選挙で新自由主義を否定され、最大の敗北者になった。候補者を一本化できなかったのも敗因だろう。決選投票は予断を許さない。決選までの推移を見守っていこう。

 では受講生のみなさん、5月7日に会いましょう。

2011年4月17日、紀伊半島沖航行中のピースボート・オセアニック号船上にて、
伊高浩昭

2011年4月14日木曜日

波路はるかに~伊高先生の船上レポート(21)

 PBオセアニック号は4月13日午前10時半、マニラ港に着岸した。彼方に中心街のスカイラインが見える。港の近くには、スペイン支配時代のサンティアゴ要塞跡の、城壁に囲まれた旧市街がある。だが、お目当てはそこではない。港の外れの、幾つかの川の河口付近に密集しているスラム街を訪ねるのが上陸の目的だった。ピースボートの「社会的交流ツアー」の一環だ。住民の生活を支援している地元NGOの案内で回った。

 港の周辺には延々とスラムが連なり、その悲惨さは凄まじい。川には「ボートピープル」の小舟の群がひしめき、川の橋の下には高床式の小屋がびっしり建ち並び、川には筏式の「浮かぶ小屋(フローティングハウス)」があふれていて、すべてが巨大な超貧民街を形成している。その規模の大きさに、一瞬、「美」さえ感じたものだ。

 だがスラムに入ると、耐え難い悪臭、腐臭、下水臭が蒸気のように立ち込めている。川は真っ黒などぶ川で、メタンガスが泡を吹いている。首の無い犬の死体が浮いている。汚物、ゴミが水面を広く覆っている。そんな恐るべき川で、少年たちが橋から飛び込んで遊んでいる。この光景、まさにシュールレアリスムと言うしかない。

 このようなスラムの3カ所を回った。うち2カ所は市当局から立ち退きを命じられているが、代替地が見つからないため、人々は住み続けている。街と街の間は、小型トラックにバスの車体を載せたような乗り合いの「ジプニー」で移動した。車内にこびりついた臭いが鼻をつく。オートバイが客室を横に付けた、計3輪の「トライスクル」、自転車が客室を付けた「ペディーキャブ」が群れなすようにして走り回っている。みな、一走り20円以下の庶民の脚だ。

 足を踏み外せば奈落のようなどぶ川に落ちること疑いない危うい板切れをつなぎ合わせた10mぐらいの「橋」を伝って、筏小屋に入った。9人家族で、親たちは15年前に地方から出てきてずっと住んでいるという。1日3食で100ペソ(2米ドル半=約200円)かかるため、月に食費として最低75ドルは稼がねばならない。家長は魚を釣って売ったり、建設労働者として働いたりして生活費を捻出していると聞いた。母親は「子どもに教育を受けさせたい。いつかもう少しましな家に住めたら」と、控えめに希望を語った。ここの筏小屋群には約30家族、計200人が住んでいる。

 橋の下の住民は、コウモリのようにぶら下がって生きるという形容から、「バットピープル」と呼ばれている。満潮時に浸水しない高床式の小屋が密集しているが、一部は台風が来たときに波に削られ流されてしまったという。住民たちは無表情かつ無愛想で、ビンゴに集中していた。大人たちは小銭をかけて遊ぶ。

 広大なゴミ捨て場の脇で、ゴミの山から金属片やプラスティックを探し出し、それを売って生計を立てている人々の住むスラムにも行った。かつては「スモーキーマウンテン」が名高かったが、いまはない。だが規模は小さくなるが、ゴミ捨て場はあちこちにある。

ある少年は、「何日かかけて僕の背丈の倍ぐらいゴミをあされば、200ペソぐらいにはなる」と言っていた。家族の食費は月3000ペソ前後だから、少年の稼ぎだけでは足りない。父親は建設現場で仕事があれば、賃金を稼ぐ。主婦たちは幼子や乳飲み子を連れていた。若い女には妊婦が多かった。みな、生活苦を一瞬でも忘れたいためだろうか、笑顔を作っていた。
「ゴミの街」には2000世帯、計3万7000人が住んでいる。

 都市計画で建設された下水道にも住民がいた。これは「トンネルピープル」だ。家長が失業者の10家族、計70人が住んでいた。漁港に行って魚を運ぶ賃仕事を得て、わずかな日銭を稼いで飢えをしのいでいるという。

 「増幅し放題のアジア的貧困」を見た。それは政治の貧困の累積した結果でもあるはずだ。

 船上に幾つかのNGOの人々が集まってくれた。別の交流ツアーに協力してくれた組織だ。「ジャピーノ」(日比混血児)たちは、「私たちは強くあらねばならない」という歌詞を繰り返す歌を歌った。買春問題に取り組む組織に支援されている8歳の少女を含む、買春の犠牲になった20歳にも満たない娘たちは、「ウイー・シャル・オーヴァーカム」を合唱した。胸が痛んだ。彼女たちは過去を本当に克服できるのだろうか。克服してほしい、と願わずにはいられ ない。
 
この日、各種の交流ツアーで会った子どもたちは、大震災に見舞われた日本の子どもたちに贈ってほしいと、一人1ペソずつ募金箱に入れてくれた。どぶ川で泳いでいた少年、ゴミの山で掘り出し物を探していた少年、橋の下でうつむいていた少女、筏小屋の少女。そして買春の餌食になった少女たち。彼らの姿が目に浮かび、熱いものが頬を伝わり落ちた。

2011年4月13日
マニラにて 伊高浩昭

2011年4月13日水曜日

波路はるかに~伊高先生の船上レポート(20)

 「PBオセアニック号は4月11日、ボルネオ島北側のマレーシア・サバ州都コタ・キナバル(KK)に寄港した。シンガポールから南シナ海を北東に五十数時間航行して、朝方に到着した。戦時中、日本軍が拠点を設け、連合軍と攻防戦を展開した地だ。同じ熱帯でも、赤道に近いシンガポールよりもKKの方が暑く、歩くだけで汗が流れる。

 この地域の深刻な問題は、森林の乱伐が進み、生態系が破壊され、生息する動植物、とりわけオランウータンの個体数が急速に減りつつあることだ。先日インドのコーチンで、マレーシアから輸入された丸太が港の一角に山積みされているのを見て、背筋が寒くなる思いをしたが、この丸太の大方の出所がボルネオ島なのだ。

 オランウータンを絶滅の危機から救おうと幾つかの取り組みが進められている。その一つが、「ボルネオ保全トラスト・ジャパン(BCTジャパン)」という組織だ。その理事である坂東元・旭山動物園長が船上講師としてシンガポールからオセアニック号に乗り、同組織の取り組みについて講演した。そのこともあって、動物園に行った。「野生を失わせてはいけない」という理由で、人間に慣れたオランウータンが1匹だけ展示され、芸を演じていた。船客たちはオランウータンを救うため、「緑の回廊」を築く同組織の運動にカンパし、かなりの浄財が集まった。

 KKの街は発展している。イスラム教国であることと関係すると思うのだが、いくら探しても酒類の販売店が見つからなかった。酒場やレストランで飲む酒はあっても、船に持ち帰る酒は買うことが出来なかった。特定の販売店に行かなければ手に入らないのかもしれない。
船は日没直前にKK港を出航し、南シナ海を再び北東に進路をとり、最終寄港地マニラに向かい始めた。かつて海賊が出没した海域であるため、夜間航行中は窓のカーテンを閉めるのが義務づけられ、デッキでの散歩も規制される。

2011年4月11日
船上にて 伊高浩昭

2011年4月9日土曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(19)

 船がインド洋本洋から、その北東端のアンデマンダン海南端と、スマトラ島(インドネシア)北端をかすめてマラッカ海峡に入って3日目の4月8日朝、左舷側のマレー半島と右舷側のスマトラ島が接近するころ、左舷側の彼方にシンガポールのラスカシエラス(高層ビル群のスカイライン)が見えた。海上から天にそびえるこの摩天楼は、ニューヨークの4分の1くらいの規模だろうか。港は、まさに海岸の開発地にあり、ガウディの曲線とピサの斜塔の傾斜を併せ持つような大型ビルが建設中だった。港の上を、隣接する島に繋がる空中ケーブルカーが頻繁に行き来している。

 だが都市国家シンガポールの手前の海岸は、マレーシア領を含めて石油コンビナートと貯油タンク基地が連なる。港の外は、沖待ちのタンカー、油化タンカー、コンテナ船、貨物船などがひしめき、水先案内人の舵さばきで船は徐行する。巨大船の谷間のような海に、小さな手漕ぎの漁船が出漁し、魚を釣っている。「アジア的情景」の名残を、小さな漁船に見た。一帯の光景は、経済の隆盛を反映させながらも、乱開発の危険性を感じさせ、経済成長期に破壊された日本の海岸線に思いを馳せた。地球は、この地でも悲鳴を上げている。
 
私は小学校時代に、南洋一郎(みなみ・よういちろう)の「海洋冒険小説シリーズ」に親しんだ。そのなかに、題名の記憶は定かではないが、『深海の魔魚』とかいう本があった。
マレー半島南端とシンガポール島の間のジョホール水道が舞台で、「畳10畳もの大きさの頭を持つ」大蛸が出没し、航行する船の人を海に引き込んでは餌食にしていたが、主人公が退治に乗り出したところ、その主人公も体を絡め取られ吸盤で吸いつけられ、あわや海に引っ張り込まれそうになる。その瞬間、部下のマレー人が毒を塗った吹き矢を放つ。矢は大蛸の脚に命中し、主人公はからくも海に引き込まれずに助かる。それから何日から経ってから、海面に大蛸の死体が浮いていた。。。。というような物語だ。
 
以来、私は、いつの日かジョホールの海を訪れたいと思い、願っていた。それが、ついに叶った。シンガポールから地下鉄を乗り継ぎ、バスに乗ってジョホール水道上の橋を渡り、マレーシアのジョホールバルに行き着いたのだ。マレー人、華人、インド人らが入り混じった他民族の街で、頭部を布で覆ったマレー人女性イスラム教徒の姿がちらほら見られた。時間の都合で、ビールを飲み、街を少し歩いただけで、再びジョホール水道を越えてシンガポールに戻った。往復ともに出入国管理所と税関を通る。私は朝、船でシンガポールに入港し、夕刻、マレーシアからまたシンガポールに入国したことになる。
 
 幅300mかそこらの狭い水道で、船は航行しない。マラッカ海峡とシンガポール海峡を伝ってインド洋と南シナ海(太平洋西端)が結ばれているため、水道の航行価値がないからだ。私は、ジョホール水道を2度バスで越え、ジョホールバル側から水道の畔に立って、小学生時代からの夢が実現したのを静かに喜んだ。
 
夕食は、港に近い中華街で食べたが、味が濃くて辛く、慣れ親しんでいる横浜中華街の味に軍配を上げた。地下鉄内で観察した、圧倒的に華人が多いシンガポール人の表情は、経済が発展した「第1世界」の労働者・勤労者のそれで、日本の電車内とあまり変わらない。生活と社会の発展が、人間を小ざかしくし、つまらなくするのだ。だが私は中年の華人から座席を譲られた。「シェーシェー」と言って、座らせてもらった。彼は笑顔を見せてくれた。このとき、かすかに人間味を感じることができた。9日午前零時、船は出航し、マレーシアのボルネオ島の飛び地にあるコタキナバルに向かう。

20110408
シナガポール停泊中のPB船上にて
伊高浩昭

2011年4月7日木曜日

第59回ベルリン国際映画祭  金熊賞受賞作品「悲しみのミルク」(原題:La teta asustada)

立教大学の桜も満開となりましたが、まだ学生の少ないキャンパスです。
そんな中、ほんの少しだけですが、講座新規受講の問い合わせが始まりました。
愛読書が心を救ってくれるように、映画好きの方に特別素敵な映画のお知らせです。

・・・・・
第59回ベルリン国際映画祭 金熊賞受賞作品 『悲しみのミルク』(原題:La teta asustada)
マリオ・バルガス=リョサのノーベル文学賞受賞に沸く、
南米ペルーの新しい才能――映画監督・クラウディア・リョサ。
バルガス=リョサをおじに持つ彼女の映画には、詩と生命の力が漲っている。

【STORY】

ペルーに暴力が吹き荒れていた時代に母親が経験した苦しみを、母乳を通して受け継

いだと信じている娘・ファウスタ。美しく成長した今でも一人で外を出歩くことがで

きない。しかし、歌を残し逝ってしまった母を故郷の村に埋葬しようと決めたファウ

スタは、その費用を稼ぐため、街の裕福な女性ピアニストの屋敷でメイドの仕事を始

める。ファウスタが口ずさむ歌に心を引きつけられたピアニストは、真珠一粒と引き

替えに、歌を一回歌うという取り決めを交わすのだが――。映画は、堅く閉ざされた

ファウスタの心が、かすかに熱をおびていくさまを寡黙に、しかし鮮やかに描き出し

ていく。



4月2日(土)よりユーロスペース、
4月23日(土)より川崎市アートセンターほか全国順次公開

『悲しみのミルク』公式HP

http://www.kanashimino-milk.jp/

2011年4月6日水曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(18)

長方形の枠組みの上部に「FUKUSHIMA」の大きな文字。中央に「怪獣中の怪獣ゴジラ」がものすごい形相で放射能を日本社会に浴びせて破壊をほしいままにしている。そんな世相漫画が外国で流れている。日本人なら、発想することはできても、書き表すことは難しい内容だろう。


ラ米研の開講日が5月になったため、私は当初のコーチン(インド西南部)下船・帰国という予定を変更し、横浜まで乗船し続けることになった。3月11日以降の日本の歴史的な悲劇の日々にアフリカ北部、地中海、紅海、インド洋に居た私は、おそらく終生、「そのとき東京(日本)に居なかった」ことに後ろめたい思いを抱き続けることだろう。だが、修羅場に居られなかった以上、「負い目を負う」だけにとどまることなく、この際、ピースボートによる世界一周航海を完成させ、世界観を新たにしてから帰国するのがよいと考えた。今航海が私にとって、最初で最後の世界一周の機会でもあるからだ。

トルコからインドまで乗船した船上講師仲間に、著名なMC(マスター・オブ・セレモニー、ラップミュージックを作り演じる人=ラッパー)のKダブシャイン(各務貢太)が居た。40代前半の日本人ナイスガイで、船客たち、とりわけ若い層を大いに湧かせた。私は、彼の東京での大地震体験報告を聴き、彼のラップの詩を「現代社会を告発する優れたジャーナリズム」だと捉えた。そこで「ラップとジャーナリズム」という1時間の講座を彼と共催し、音楽芸術、ジャーナリズム、破壊と創造、メディアの堕落、大震災・原発大事故後の状況にどう対応すべきか、などについて語り合った。熟年層と青年層の両方からかなりの反響があった。普段なかなか接触する機会のない職業や独特の生き方をしている人々との「合作」は、実りがあるものだ。

PBオセアニック号は昨日正午、インド南端とスリランカ南端を通過し、マラッカ海峡入り口に向かって真東に航行している。日本との時差も3時間に縮まっている。インド洋は依然穏やかで、波はほとんどない。波がないから、イルカが出てこない。

2011年4月5日、インド洋上にて

伊高浩昭

2011年4月4日月曜日

波路はるかに~伊高先生の船上たより(17)

PBオセアニック号は4月3日、インド西南岸の港町コーチンに寄港した。港に降り立ち、インド人のたたずまいや、ココ椰子、ナツメ椰子、マンゴーや名も知らない巨木が生い茂る森、インド洋から切り離された、大河のような潟湖などを観て、悠久な大地であるのを実感した。景観と、湿気の多い気候は、メキシコ南部にも似ている。


街に出ると、その昔、ポルトガル人が建設した歴史の味麗しい聖フランシスコ教会の偉容が目に飛び込んできた。欧州・インド航路を切り拓いたヴァスコ・ダ・ガマが死ぬと、遺体はこのこの教会に安置された。だが14年後、遺言に基づいて遺体はリズボア(リスボン)に運ばれた。500余年前の世界史の現場にたたずんだ気持になり、しばし瞑想した。

海水と淡水が入り混じる潟湖では、800年も前に中国から伝わったという「大網漁法」があちこちで行なわれている。これを見て思い当たったのは、少年時代、小魚を獲るのに使っていた「四手網(よつであみ)」だ。これを川や池に仕掛けておいて引き上げると、口細、鮒、メダカ、ザリガニなどがよくかかった。この四手網を100倍くらい大きくした形の網を、巨大な木製のてこと錘を使って、湖底に沈めたり引け揚げたりする。一回の捕獲量は小さい。1日に6時間、計100回以上も大網を操って漁民らはエビ、ボラ、蟹などを獲り、別の方法で獲った蜆(しじみ)などとともに魚市場に卸して生計を立てていると聞いた。中国は明(みん)の時代にインド洋航路に本格的に進出した。おそらくそのころ、大網漁法もインドに伝えられたのだろう。高価な緑蟹(グリーンクラブ)の養殖池もあった。

村芝居やお神楽のような芸を観た。王子にむりやり嫁ぎたい野心的な娘が、強引に王子に関係を迫り、王子から刀であちこちを斬られてしまうという、二人芝居で、娘役も男だった。能、狂言の舞台にもかすかに似ていると思った。この芝居を観る前に食べた本場のカレー料理は、実にうまかった。御代わりしないではいられなかった。

街には、1568年に建立されたシナゴーグ(ユダヤ教寺院)があった。紀元2世紀頃、ローマ帝国がエルサレム(パレスティナ)を制圧すると、ユダヤ人の一部はインド洋に逃れた、そんなユダヤ人がコーチンに定住し、自分たちの寺院を建てたのだ。ローマ帝国、ポルトガル、イスラム教徒に迫害された史実が、展示されている絵で語られている。寺院の床に張り詰められている正方形の青いタイルは絵柄から中国製とすぐにわかる。ポルトガル人は中国の青タイルを自国に運んで、絵柄を変え、「アスレージョ」にしたらしい。

シナゴーグに近い「オランダ館」には、ヒンズー教の神々の生活を描いた300年まえの壁画群が残されている。鮮やかな色彩、官能的な姿、即j物的な表現が特色で、「生と性」を謳歌した教徒らの行き方が読み取れる。街のいくつかの店では、「カーマストラ」

の絵や本が売られていた。浮世絵の枕絵と比べ、男女の表情が明るく、絵柄も大らかだ。カースト制度を生んだヒンズー教だが、生々しい「生と性」の表現は洒落ている。

2011年4月3日

印度コーチンにて 伊高浩昭

波路はるかに~伊高先生の船上便り(16)

 船は静かなインド洋を航行している。ここで、遣り残していた宿題を片付けねばならない。2月28日、カリブ海はトゥリニダードトバゴ(TT)の首都ポートオブスペインに寄港した折、ラ米研元受講生・安間美香さんのはからいで日本大使館を訪れ、岩田達明大使にインタビューした。その内容をお伝えする約束をしたまま果たしていなかった。モロッコ、リビア、エジプト、サウディアラビアのアラブ4カ国への寄港を前にして、準備で大童だったからだ。特にリビア情勢は風雲急を告げていて、連日、情報収集に追われていた。内戦状態になったため結局はトリポリ寄港は取り止めとなり、リビア市民との交流やローマ帝国時代の大遺跡訪問の夢も消えた。いま、海賊が出没する危険海域を離れ、取材メモをまとめる時間が出来た。以下は、質疑応答での大使発言の趣旨をまとめたもの。

 TTは石油が出る豊かな国だが、富が偏在している。人口は130万人。自給自足が可能。教育も医療も無料だが、教育の普遍性が欠けている。貧困層には子供たちに教育を十分に施すと言う発想があまりなく、教育の機会均等はあるが普及性が不十分で、貧困家庭の子弟は社会上昇がしにくい。

 米国文化の存在は映画をはじめ圧倒的。音楽はパン(スティールドラム)、ソカ、カリプソなどがあり、それが(特にアフリカ系の)アイデンティティー(認同)になっている。トバゴ島はアフリカ系住民が多く、美しい海浜が売り物の観光地。国の人口の40%を占めるインド系は経済面にひろく進出している。

 宗教はヒンズー教、英国教会、新教、米国諸教会など。多民族社会が認同を形成する過程に依然ある。宗主国が西国から英国に移ったため、認同があいまい、ということが言える。華人系住民は人口の7ないし8%で、カナダなどから移ってきた者もいる。アフリカ系は政治、軍部、官僚、音楽などに進出している。概して国民性は控えめだが、この点は英国譲りか。教育を受けた者は、社会上昇のため勤勉だ。

 独特な「TT英語」がある。たとえば「アイ・アム」と言うべきところを、「アイ・イズ」と言ったりする。「アスク(訊ねる)」を「アクス」と言うこともある。パトワ語も混ざりこんでいる。

 最大の社会問題は治安。石油は出続けているが、ブームは過去のものだ。景気が翳っていたところにコロンビアのコカインが隣国ベネズエラ経由で入ってきた。麻薬の大市場・米国への中継地になったのだ。失業率は8%程度。凶悪犯罪(02年から10年まで3335人殺害さる)も近年目立っており、絞首刑復活について国会が審議している。9月から1月までの雨季には洪水がある。

 外交は(全方位外交ということを考えれば)視野は限られている。米国第一主義。次は英国、欧州、インド、カナダというところ。中国のプレゼンス(存在)はまだまだ。TTはかつてカリコム(カリブ共同体・共同市場)の盟主の座をジャマイカと争っていたが、今日ではベネズエラとキューバが主導するALBA(米州ボリバリアーナ同盟)が圧倒的な存在感を発揮している。TTのメディアはベネズエラのことをほとんど報じない。(海底の天然ガス田開発で、ベネズエラに譲歩して、交渉をまとめた。)

 近隣では、カリブ海の英連邦系島嶼国家群のなかでは、バルバドスが民度が高い。英国流だ。自立できる。グレナダ、サンヴィセンテグラナディーンとは一定の関係がある。ALBA加盟の島嶼3カ国については、冷ややかに見ている。ALBAの援助能力が強いため「仕方ない」と受け止めているようだ。

 在留邦人は60人ぐらい。年間訪問者は500人ないし600人。(この日ピースボート乗船の750人が一度に訪問し、今年の訪問者数が例年の倍以上となるのは疑いない。)日本とTTは互いに相手国を知らなさすぎる。日本企業にとっては、TTがカリコムへの玄関口だ。富士通が進出企業としては存在感がある。発電面は日本企業が4分の1を占有しているが、今後、発電以外でも油化、廃棄物処理などの分野が投資先としては有望だろう。

(今夏、日本の大型経済使節団がTTを訪問する可能性があったが、東日本大地震・原発事故の影響で、見送られたという。)

2011年4月1日
インド洋上にて   伊高浩昭

(今夏、日本の大型経済使節団がTTを訪問する可能性があったが、東日本大地震・原発事故の影響で、見送られたという。)


2011年4月1日 インド洋上にて 伊高浩昭

2011年4月1日金曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(15)

PBオセアニック号は3月30日、アデン湾からインド洋本洋に入った。1800時過ぎ、警護の役割を終えた海上自衛隊の駆逐艦2隻は、ピースボートを含め計9隻の護衛対象の船団を離れた。船団も解散した。船はインド洋中北部を横断し、印度のコーチンに向かっている。


3月29日夕刻には、明らかに海賊船と見られる高速船外機付きの小舟が自衛艦の周囲を、出方を確かめるように旋回し、自衛艦と搭載ヘリコプターによる追跡を避け、去っていった。乗客の何人かが目撃し、小舟を望遠レンズで撮影した。後でこの船影の写真を見せてもらったが、貴重な現場写真だ。自衛艦が数多くの証拠写真を撮影しているのは疑いない。

インド洋本洋は湖水のように静かで、波がない。本船が立てる波にイルカたちが盛んに波乗りを楽しんでいた。31日の海も静かで波がない。何処の海にせよ、こんな波のないおとなしい大海原に遭遇するのは稀だ。雲ひとつない青空は、夜は星の海になる。横浜帰着まで2週間あまりとなった。2011年3月31日

インド洋上にて 伊高浩昭

2011年3月30日水曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(14)

PBオセアニック号は3月28日正午、紅海からアデン湾に抜ける幅30kmのバブルマンデブ海峡を通過、夕刻、タンカーなどさまざまな船籍の8隻とともに船団を組み、船団は前後を海上自衛隊の護衛艦(駆逐艦)に挟まれて進む。今、イエメン沖のアデン湾をインド洋本洋に向けて進んでいる。わが船は船団の最後尾についたが、海賊に航行中であることを悟られないため明かりを消すか、船外に明かりがもれないようにして航行している。明かりがなくなった上階のデッキの上空は、満天星で埋まり、北の空に北斗七星、北極星、南にオリオン座と南十字星が輝いている。


一昨年、自衛艦に護衛され始めたとき、航行する船内では護衛されることの是非をめぐって激論が交わされた。いまでは「やむを得ない措置」として、議論されなくなっている。万が一、750人もの日本人と船長以下250人の乗組員が海賊の人質になったとしたら、身代金の額は天文学的に膨らみ、ただでさえ大地震・原発大事故で大混乱に陥っている日本にさらなる打撃を加えることになる、との暗黙の認識が日本人乗客の間にある。船団航海は、あと2日間続く。

2011年3月28日   イエメンの町の灯火が見えるアデン湾にて

伊高浩昭

2011年3月28日月曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(13)

サウディアラビア紅海沿岸のジッダに3月26日寄港し、一日上陸した。査証は公用・外交、商用、巡礼用が普通で、「観光」はない。だが同国政府の判断で、PB乗客約700人の一日上陸が認められた。しかし入管では、通過に2時間もかかった。米国警察当局との明らかな連携で、一人一人が両親指および、右手の親指以外の4指、同じく左手の4指の指紋、眼鏡外した顔写真をとられたからだ。「国際テロリスト」や「サウディ国内不安定化の扇動者」らの入国を阻止するためらしい。中東・北アフリカのイスラム諸国の歴史的変動期にあって、厳戒態勢をとっている。


モスレムの巡礼の地メッカは、ジッダの東方70kmにある。車で高速道路を30分、電車で45分の近さだ。メッカに行けるのは通常モスレムだけであり、異教徒は特別の許可がないと訪れることはできない。年間400万人が諸外国から玄関口ジッダ空港に降り立ち、メッカ、そしてメディナを訪れるという。ジッダ新空港は敷地の長さが20kmもあると聞いた。

ジッダの旧市街を歩いた。寺院のミナレットの上部の拡声器から、日に5回の礼拝時の放送がなされる。「アッラーは神たちの中の最高の神だ。。。」。浪花節をけだるくしたような音色は、フラメンコの曲の底流にある。イスラム支配したのアンダルシーアで生まれたのが、フラメンコ音楽だ。

ジッダ新市街は、世界一の産油国の主要都市らしく、石油マネー威力を存分に発揮して、現代的かつ成金的だ。女性の姿は極めて少なく、就労年齢女性の30%程度しか働いていないとのこと。顔と手しか露出させてはならない、という厳しい習慣で、女性は身体を黒服と黒頭巾で覆っている。「戒律の厳しさ」は、目に見える女性の服装で象徴される。一方、男は服装は自由だ。戒律の厳しさは、サウディがイアスラム教発祥の地であるという正当な理由のほか、サウディ王家を維持するための方便という側面は無視できないだろう。

郊外で、ベドゥウィン(砂漠の遊牧民)の羊肉料理、生コーヒー、ナム、なつめ菓子などを味わい、彼らの踊りを観た。一瘤ラクダが沢山現れて、飼料の乾燥草を食べた。いまでは、過酷な砂漠での生活を切り上げて都市で暮らす者が多いという。旧市街のスーク(市場)周辺には物貰いや小銭をせびる老人、中年女性がおり、少年少女のチュウインガム売りもいた。社会の底辺労働は移民労働者がこなしている。経済と人種の格差が目に付き、潤沢な原油の生む富が社会全体にあまねくいきわたっていない状況を示していた。

2011年3月26日

ジッダで 伊高浩昭

波路はるかに~伊高先生の船上便り(12)

PBオセアニック号は、3月24日未明、ポートサイドからスエズ運河に入った。明け方、日本が資金を出して建設した、全長5キロの巨大な「日エ友好橋」の下を通過した。運河は(明治維新翌年の)1869年に開通したが、建設技術は、日本が江戸末期だったころの欧州とエジプトのそれだった。東方の紅海の出口ポートスエズまで、右側がエジプト本土(アフリカ大陸)、左側が同国シナイ半島(アジア入り口)で、半島は一面の砂漠だ。半島の彼方にはイスラエル、パレスティナ、レバノンと、動乱の地が拡がっている。本土側は水路の淡水のお陰で緑があり、集落がある。運河防衛のための軍事施設や、中東戦争の記念碑がある。第一次世界大戦時の「運河防衛記念碑」もある。渡河用の浮き橋の備えもある。

パナマ運河と比べて、運河の幅は実に広い。だが両岸から砂が絶え間なく流れ込んで、浅い。だから対面航行が出来ず、船団を組んで運河に入航し、運河内にある湖で、前方からやってくる船団と待ち合わせた上ですれ違うのだ。浚渫船が活躍しているが、対症療法のようで、水深を増すのにはあまり役立っていないような印象を得た。

午後2時ごろ、ポートスエズをかすめて紅海に入った。チュニジア、エジプトの政変を生み、いま欧米軍に攻撃されている内戦さなかのリビヤのある地中海を後方の彼方に意識しつつ、サウディアラビアのジッダを目指す。

2011年3月24日紅海にて

伊高浩昭

2011年3月25日金曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(11)

船は3月23日、ポートサイドに着き、早朝バスの車列を組んでカイロに向かった。ポートサイドの港と街中、沿道、カイロ市内のいずれにも陸軍戦車部隊が展開し、政変後の暫定軍政下での実質的な戒厳令状況を示している。トケ・デ・ケダ(夜間外出禁止令)は午前零時から朝6時までだ。


検問も厳しい。車列を観光警察巡視車が先導し、それぞれのバスには自動小銃を背広の後ろに隠した若い警備官が乗った。エジプト観光省は、観光相がわざわざ東京のPB本部にエジプト上陸を中止しないでほしいと書簡を送っただけあって、精一杯歓迎してくれた。PB到着、ギザのピラミッド訪問などはエジプト各紙、テレビ・ラジオ、間網新聞で報じられた。

夜半、港に戻ると、PB船の舷門前で、観光省が手配した妖艶な若者たち(男性ばかり)の舞踊団がアラブ風の曲に合わせて、不思議な踊りを披露してくれた。私も招かれ引き込まれ、彼らと共に30分も踊ってしまった。後で「酔っ払っていたのではないですか」と、日本人乗客らから無粋な質問をされた。粋で洒落た地元の文化だから、喜んで踊ったのだ。

カイロの街は、貧富格差が著しい。それが街並みにはっきりと現れている。30年も支配して貧困問題を解決できなかったムバラク腐敗独裁は蹴倒されて当然だった、と人々は言う。古代エジプト文明の発掘物を集めた博物館の横手にある高層の「女性評議会」ビルは焼け焦げていた。政変劇の生々しい「遺跡」である。しばらくはこのまま放置され、いずれは建て直されるのだろう。

館内には、ラムセス2世ら往時の国王らのミイラ、ミイラ棺、副葬品、巨大な石像群があった。夜たった独りで館内を歩いたら、さぞ不気味な思いがすることだろう。懐かしかったのは、半世紀ぐらい前に東京で観た少年王トゥタンカーメンのミイラの頭部を覆っていた、あの素晴らしい面だ。しばし再会を味わった。

午後は、カイロに隣接したギザのピラミッド群を観た。街とピラミッドのある砂漠の境界は石の壁で、そこで砂漠が止まっている、というか食い止められているのが面白い。「エジプトはナイルの賜物」と古来言われるように、カイロの街中をながれるナイルの潤沢な水が街と農業を生かしてきたのだ。至るとことに灌漑用水路があり、砂漠を意識した人間の知恵や対処法が伺える。

観光省職員や日本語ガイドたちは「日本と連帯する」という主旨の文字をつけたそろいのTシャツを着、「日本、東北地方と連帯する」と書いた横断幕を掲げた。欧米や中韓の団体観光客も来ていた。だが観光省は、世界一周船で750人の日本人が来たことを最大限に評価しつつ、その来船を宣伝して、「エジプト観光の安全性」を内外に訴えたかったのだ。

白状するが、スフインクスに恋をしてしまった。7歳の頃、「世界の不思議」という写真集で初めてスフインクスとピラミッド群の写真を観たのだが、それから60年もの歳月が経って、初めて本物の光景に身を置いた。感動し、巨大なこの半人半獣像の前で一時間動けなくなってしまた。じっと見つめ合いながら、自分の半生、世界、日本と世界の状況を考えた。

ピラミッドだけならば、私はアステカやマヤのピラミッドの方に惹かれる。だがスフインクスの存在によって、ギザのピラミッドは輝くのだ。この光景に別れを告げ、一キロあまり離れたレストランで夕食をとったが、カイロへの出発までに40分間猶予があった。水タバコやカフェで人々が憩う夕暮れの下町を私は急ぎ足で通過し、再びスフインクスの見える柵まで辿り着いた。もはや近くには行けない。だが日の入り直前、夕闇迫る中で像とピラミッド群は、その日最後の輝きを見せていた。私は5分間たたずみ、知っているかぎりの言葉で「さようなら」を告げ、バスの停車場に戻った。スフインクスとの対面は、この旅で最も感激した場面だった。

2011年3月23日

カイロで伊高浩昭

波路はるかに~伊高先生の船上便り(10)

 船は3月21日、トルコ・エーゲ海沿岸のクシャダスに入港し、近郊のローマ帝国エフェソス遺跡を訪ねた。広大な都市跡は、1900年以上昔の都会人の生活の痕跡であふれている。直径100メートルもの最大級の劇場は今でも使われているが、その昔、クレオパトラがエジプトからやって来て観劇したという。クレオパトラの妹は姉に敵視され、斬首されたというが、その妹の墓というのもある。ガイドや案内書の説明は神話めいているが、信じるも良し、信じないのも良しだろう。


 2階建ての豪壮な図書館跡もあった。男が十数人並んで腰掛けて用をたす水洗便所跡もある。売春宿は古代都市には付き物のようで、ポンペイにもエフェソスにもあった。それにしても石造文化は執念深く、千年王国の滅びた後も、その何倍もの歳月、往時の姿をいまの世代にさらすのだ。近郊の丘には、セルジュックトルコの城址があった。世界史の一局面の名残を目で観、足で歩く思いがする。ここでも大地震・原発事故の見舞いを受けた。船は夜、エジプトに向けて出航した。

2011年3月21日

PBオセアニック号にて 伊高浩昭

2011年3月23日水曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り9

遅くなりましたが、3月20日に着信した、伊高先生の船上便りをお送りします。

・・・・
PBオセアニック号は3月19日、アテネのピレウス港に入港した。750人の乗客中、若い娘さんを中心とする約60人がPB職員とともに、大震災被災地への義援金を集める募金活動を3時間展開した。アクロポリスの見える都心の広場で、横断幕を掲げ、歌を歌い、「どうか日本に支援を(プリーズ・サポート・ジャパン)」と叫ぶと、アテネ市民は立ち止まり、小銭を募金箱に入れてくれた。船上講師の私も、若者たちに混ざって、この活動に参加した。3時間の活動で、ユーロを換算して1000米ドルを上回る浄財が集まった。昨年来の財政破綻で苦境にあるギリシャだが、この日も労働者の大規模なデモがあり、交通は渋滞した。しかし市民は、日本の歴史的な災害に連帯してくれた。風船売りの女性も街の音楽家も、生活は楽でないはずだが、惜しみなく小銭を投函してくれた。異国の市民の連帯をたっぷり受けた乗客の娘さんたちは、この活動を通じ市民として成長したはずだ。


だが地中海の対岸のリビヤでは、一部のNATO軍が19日攻撃を加え、少なからぬ死傷者が出た。我らの船は、極めて複雑な心境で航行を続けている。20日はギリシャのミコノス島に寄港した。

波路なるかに~伊高先生の船上便り8

遅れましたが、伊高先生からの船上便りを掲載いたします。3月19日に着信したものです。

・・・・・・
船は3月15、16両日、ナポリ港に停泊した。早速、ポンペイ遺跡に行った。約2000年前のローマ帝国時代の街が、発掘されて生々しい姿を見せている。日本人がまだ土器の時代にあったころ、現代の都市と本質的に大きく変わらない街並みがあったのだ。普段の生活をしていたさなかに突然、近くのヴェスヴィオ火山が爆発し、街は厚い砂と石の層に覆われ、永い眠りについた。だから、生活の痕跡がいたるところに生々しく残っているのだ。


文明はいつかは滅びる。大地震で危機に陥った日本の原発文明もしかりだろう。私たちは重大な生活上のパラダイム転換を迫られている。遺跡に立ってあらためて、このことを認識した。夜は、ダンテ広場まで旧市街を歩いてから、カンツォーネ酒場で過ごした。

翌日はカプリ島に渡り、パブロ・ネルーダが1951年に亡命生活を送った家を探した。何人かの親切な老人達の協力を得て、その家のありかを突き止めることが出来た。感慨があった。島からソレントに渡り、「帰れソレントへ」の歌の故郷を散策した。彼方にある、ナポリ湾沿岸のナポリ市サンタ・ルチア地区は「はるかなるサンタ・ルチア」や「サンタ・ルチア」の古里だが、往時の漁村は金持ちのヨット港に変わり果て、ナポリ民謡の傑作を生んだ面影は乏しい。

17日、世界自然遺産のストロンボリ島の脇を通り、シチリア島とイタリア半島の「長靴」の突端の間のメッシーナ半島を通過し、エトナ火山の雄姿を遠望、ギリシャに向かう。夜、大地震・原発事故を受けて、どうパラダイム転換を図るべきか、船内討論会を開いた。多くの意見が出された。福島原発はM6・5の地震を想定して建設されていたため、M9・0の巨大地震にはひとたまりもなかった、という事実も専門家から指摘された。20110318

PB船上にて 伊高浩昭

2011年3月12日土曜日

波路はるかに 伊高先生の船上便り~(7)1と2

 モロッコ南東部の古都マラケシュのホテルで3月11日早朝、フランスのテレビ放送で日本での大地震発生を知りました。NHKの大津波の映像が流れたため、日本人たちは不安に陥りました。地震お見舞い申し上げます。


 船は2月末TTのポートオブスペインを発ち、大西洋を横断して8日、カナリア諸島ラス・パルマスに寄港しました。10、11両日はモロッコ・カサブランカに入港していたわけです。明日は地中海に入り、スペインの、マラガに寄港します。大地震発生で、こののんびりした船旅が急に非現実的に感じられるようになりました。立教池袋キャンパスも緊急宿泊所になったようですが、大変ですね。今日はここまでに留めます。


20110311 ジブラルタル海峡に向かいつつあるPB船上で 伊高浩昭

波路はるかに  伊高先生の船上便り ~(7)の2
 PBオセアニック号は3月12日、スペイン地中海岸のマラガに寄港した。私が初めてマラガを訪れたのは36年前の1975年初めで、独裁者フランシスコ・フランコ総統が最後の10カ月を生きていた時だった。だから、小高い丘の上にあるアラブ支配時代のアル・カサル(城砦)に登って当時を振り返り、ひとしおの感慨があった。眼下の彼方にマラガ港が一望でき、いとしいオセアニク号の姿が見えた。丘の真下には、昔と変わらぬ闘牛場がある。最初の時は、この闘牛場の脇から階段を上って丘上の城址に出た。地元民に「あの丘に登る階段はどうなっていますか」と訊くと、「閉鎖されています。強奪など、観光客を狙う犯罪が激発したからです」との答が返ってきた。内戦時代、マラガには「マラガの屠殺者」と呼ばれる血塗られた虐殺者がいた。内戦で敗れた共和派の人々を、公衆の面前で容赦なく殺しまくった人物だ。内戦史を振り返れば、必ずこの屠殺者のことを思い出さざるをえない。


   この日、バスで南方郊外の丘上に建つミハスの白亜の街を訪ねた。いかにもスペイン南部らしい、美しい観光地だ。夜は独りでマラガの中心街を散歩した。ここのカテドラルは鐘楼が片方しかない。マラガ出身者の血を引くベルナルド・ガルベス(1746~1786)は1777年、スペイン領ルイジアナの副王になったが、米国独立戦争で重要な役割を果たし、テキサス州ガルベストンにガルベスの名を残している。マラガ市民が鐘楼を建設しようとしていたころ、ガルべスは米国独立戦争に義勇軍を派遣するようマラガに求めた。若者らが大挙して大西洋を渡って行ったため、鐘楼の片方は建設されないままに終わってしまったという。面白い秘話だ。

   旧市街には、パブロ・ピカーソの生家と、その美術館がある。モスレムから支配権を奪回したキリスト教徒による建築も興味深い。モスクの壁を使い、カトリック教会を築いている。スペイン人はラ米の征服先でも、先住民族の祭壇だったピラミッドを破壊し、見せしめのように、その上にカトリックの神殿を築いた。こうした宗教的因果の歴史がはっきりと見えるのだ。そんな街を歩きながら、気にいったバルに寄っては、ビノティント(赤ワイン)、生ハム、マンチャのチーズ、アンチョビータの酢漬けで旅情を味わった。あるバルのメセーロ(給仕)は、クーバから来た若者だった。ハバナで知り合ったスペイン娘と結婚して、出クーバ、スペイン永住に成功したという。私がクーバやハバナの詳しい話をすると、すっかり喜んで、大いにサービスしてくれた。結局、この店には一晩に二回も立ち寄ることになった。

   帰船時刻は22時だった。ぎりぎりまで歩いて呑んだ。流しのギタリストの音色に乗って「オホス・エスパニョーレス(スペインの瞳)」を歌った。「ク・ク・ルクク・パローマ」や「ラ・マラゲーニャ(マラガ女)」も歌ってしまった。マラガ市民は日本の大地震や原発の悲劇を知っていた。通りすがりの若者の群が、「アリーバ(頑張れ)」と励ましてくれた。

 2011年4月12日 マラガにて 伊高浩昭


2011年3月4日金曜日

《子どもの本でラテンアメリカめぐり》展

《子どもの本でラテンアメリカめぐり》展のおしらせが届きましたので、下記にご紹介いたします。


子どもの本を通して、ラテンアメリカを旅してみませんか? ここでは普通の人たちの日々の暮らしのようすや喜怒哀楽を伝える本が選ばれています。日本語の本には外国語で、外国語の原書には日本語で、簡単な説明がついています。

主催する「日本ラテンアメリカ子どもと本の会」(CLILAJ)は、子どもの本をつうじて、日本とラテンアメリカをつないでいこうとする会です。日本人や日本在住のラテンアメリカ出身者をはじめとする多くの人びとが、ラテンアメリカをめぐるさまざまな物語と出会う場、本をつうじて豊かな交流が生まれる場となることを願って活動しているそうです。
日時:2011年3月12日(土)、13日(日)10:00-17:00
会場:ゲートシティ大崎地下1階 ギャラリー 
   子どもの本の日フェスティバル内
http://www.gatecity.jp/
JR大崎駅すぐ(品川区大崎1-11-1)

※入場無料

展示内容:
・日本語とスペイン語・ポルトガル語の絵本70点を展示。
・コロンブス関連の子どもの本を中心に、ラテンアメリカの歴史を考える《歴史コーナー》
・絵本の読み聞かせ
・パペル・ピカド(メキシコの切り絵)のワークショップ
・ラテンアメリカ・クイズラリー
・カポエィラ(ブラジルの格闘演舞)の実演も予定

企画構成:日本ラテンアメリカ子どもと本の会(CLILAJ)
http://clilaj.blogspot.com/

tokioclilaj@gmail.com

2011年3月3日木曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(6)

◎元受講生と感激の再会


 2月28日午前11時、安間美香さんがPBを訪れた。4ヶ月ぶりの再会だった。ここカリブ海アンティージャス諸島最南端のTT(トゥリニダード・トバゴ)首都ポートオブスペインに停泊中のオセアニック号に、昨秋まで立教大学ラ米研受講生で、現在、日本大使館に専門調査員として勤務中の彼女が来てくれたのだ。船内を見学し、昼食をとってから、彼女の車で大使館に行き、岩田大使に小一時間インタビューした。その内容は次回、詳しく報告したい。人材豊かなラ米研に在籍した安間さんは、TTと周辺諸国の政情を調査している。先ごろ、南米北部のスリナム(旧蘭領ギアナ)への出張任務を無事こなした。たくましさを身につけつつある彼女の躍動が楽しみだ。

20110228 ポートオブスペイン港で伊高浩昭

2011年3月2日水曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(5)

船は2月25日、コロンビアのカルタヘーナ港に入った。乗客の中にいる広島・長崎の被爆者約10人は、地元の大学で証言会を開いた。折からカルタヘーナ市に滞在中のフアンマヌエル・サントス大統領は日程に隙間をつくり、被爆者たちを迎えた。10分間だけだったが、核兵器全廃のために闘っている彼らの志は十分に大統領に伝わった。


私は、経済自立を目指す地元のアフリカ系住民の町に行き、暮らしぶりを取材した。住宅の裏庭にマンゴー、ココ椰子、オレンジなどの苗木を植え、これを育てて自給自足し、余剰を商品として売るという計画だ。環境問題と社会問題に取り組んでいる「コンティキ」というNGOが計画を支援している。庭の果実が人々の生活を潤すようになるまでには時間が相当にかかりそうだが、人々の心に希望が生まれているのを実感した。

明日28日は、TTのポートオブスペインだ。15年ぶりだろうか。だがカリプソ「バナナボート」の舞台となった港を見るのは初めてで、これが楽しみだ。ハリー・ベラフォンテのあの歌が自然に口から出てくる。

20110227 pb船上にて サルバドール

2011年2月26日土曜日

波路はるかに~伊高先生の船上便り(4)

伊高先生からの最新のお便りです。

我がPB船は2月23日、パナマ運河を通過した。1972年に初めてこの運河を取材した際、パナマ船で通航してから7回は運河を通り抜けたと思う。いま、第3閘門水路を建設中で、大規模な土木工事の様子を太平洋側の運河出入り口付近で見ることができた。1914年にパナマ運河が開通したころ、ここを通れない大型船はなかった。だが20世紀後半、パナマックス(パナマ運河通航可能最大船舶)を超える旅客船、タンカー、軍艦などが増え、それらの船舶は南米南端のホーン岬回りを余儀なくされてきた。第3水路は、新しいパナマックスを設定することになる。

パナマ運河は、ほかにも挑戦を受けている。北極海の氷盤が解けつつあり、大型船の通航が可能になれば、北半球の欧米航路、亜欧米航路は大幅に短縮され、パナマ運河とスエズ運河の重要性は減ってしまう。また、パナマの近隣のニカラグアとコロンビアには道路、鉄道、港湾開発と絡めた運河建設構想があり、これらが実現する方向に動けば、パナマ運河には脅威となる。

第3水路は、現行運河開通100周年の2014年に開通する計画だが、それは、運河の命運をかけた至上命令なのだ。

船は、24日カリブ海側のコロン市サンクリストバル港を離れ、25日、コロンビアのカルタヘーナ港に入る。そして28日には、トゥリニダーダトバゴ(TT)のポートオブスペインに入港するが、現地の日本大使館には、昨秋までラ米研受講生だった安間美香さんが専門調査員として務めている。再会が楽しみだ。2011・02・25

カリブ海航行中の船上にて サルバドール

2011年2月21日月曜日

波路はるかに~伊高浩昭先生の船上便り(3)

 2月17-18両日、ペルーの首都リマの港カヤオ、リマ市、その南方郊外の新興都市ビジャ・エルサルバドール(VES)に滞在した。ペルーの海岸地方は、フンボルト寒流が雨雲をつくらないため、一年を通じて雨がほとんど降らない。だから砂漠が帯のように続いている。今年は「ラ・ニーニャ現象」で寒流がとりわけ冷たく、異常気象が広がっている。


 海岸地帯には、過去50-60年の間にアンデス高地から先住民族やその混血民族が新生活を求めて下り、一連の「新しい街(プエブロス・ホベネス)」をつくって定住した。VESはその一つで、1971年、今からちょうど40年前に人々が住み着いて始まった。

 私が1980年代後半に訪れたときには、砂漠が街を支配していた。90年代もそうだった。だが今回見た街は、発展し、人口も50万人に膨らんでいた。しかし貧困が視界から消えたわけではなく、市街地から離れた周辺地帯には以前と変わらない砂漠状況があった。この訪問記は、ラティーナ誌5月号(4月20日出版)に掲載される。機会あれば、ご覧いただきたい。

 わがオセアニック号は、再びエクアドール(赤道国)沖で赤道を越え、北半球に戻って、やがてパナマ運河に入る。昨夜は、「パナマ運河の歴史と現代」という講座を開いた。ではまた、

2011年2月20日 ペルー北部沖にて サルバドール

2011年2月19日土曜日

メキシコ歴史文化講演会『メキシコ独立200周年・革命100周年記念講演会』

■第18回メキシコ歴史文化講演会『メキシコ独立200周年・革命100周年記念講演会』
主催:メキシコ・日本アミ-ゴ会

 2010年はメキシコの独立200周年・革命100周年に当りました。また、メキシコ・日本アミーゴ会創立10周年でもありました。
 メキシコ・日本アミ-ゴ会はこれらの記念行事の一つとして、メキシコの独立・革命時代の歴史・背景・問題点などについて理解をさらに深めるため、同時代に関わる専門研究者による3回シリ-ズの講演会を企画しました。

★第18-1回講演会: 
講演課題:「スペインからの独立と社会革命によって形成された メキシコ近現代史を思索する」 
講師:国本伊代 中央大学名誉教授(メキシコ近現代史専攻) 
講演概要:2010年はメキシコにとって、独立運動開始200周年とメキシコ革命勃発100周年を記念する特別な年であった。カルデロン大統領が高らかに宣言したように、スペインからの独立はメキシコ人に祖国を与えた。人口の10%を失うという血みどろな動乱を経て成立した革命政権は、公正で平等な社会の建設を目指した。このメキシコ近現代史の基軸と方向性について、2010年に視点を据えたメキシコ史観を語る。
 
日時:3月4日(金)18:00~20:00 
場所:東京外語大本郷サテライト5階セミナ-室 文京区本郷2-14-10  ・東京メトロ本郷三丁目駅から徒歩5分    ・JRお茶の水駅から徒歩10分     

http://www.tufs.ac.jp/access/hongou.html

※先着順40名様まで
参加費:会員1000円      一般1500円     学生 500円 
【お問合せ先】 メキシコ・日本アミーゴ会事務局
http://www.mex-jpn-amigo.org/

【今後の講演会の予定】

★第18-2回講演会: 講演課題:「悲劇のメキシコ皇帝マクシミリアン」(仮題) 講師:菊池 良正 明治大学教授(オ-ストリア文学専攻) 日時:4月後半か5月連休明け

★第18-3回講演会: 講演課題:「メキシコ革命時代の先住民」(仮題) 講師:山崎 真次 早稲田大学教授(メキシコ民族学専攻) 日時:8月

アルゼンチン人写真家パウラ・エレラの個展

■アルゼンチン人写真家パウラ・エレラの個展
「…原始的な演劇のように、生きている絵画のように、写真の動かない面の裏に死が見える…」
会期:2月21日(月)~26日(土)13:00-20:00
会場:森岡書店ギャラリー(東西線・茅場町3番出口)
中央区日本橋茅場町2-17-1 第2井上ビル303   
tel.3249-3456入場無料

2011年2月9日水曜日

トランスナショナルな「日系人」の教育・言語・文化―過去から未来に向かって―

3月5日(土)、6日(日)に早稲田大学で日系人の教育・言語・文化に関する国際会議が開催されます。詳細は以下のリンク先をご覧ください。
http://www.f.waseda.jp/toyotomi/Morimotolabwebkenkyunaiyo.html

2011年2月5日土曜日

フィデル・カストロ~みずから語る革命家人生、イグナシオ・ラモネ著、伊高浩昭訳


http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/024659+/top.html

伊高先生から下記のお便りが届きましたので、掲載します。


◎世に出たカストロ訳本

 イグナシオ・ラモネ著、伊高浩昭訳『フィデル・カストロ~みずから語る革命家人生』が2月3日、岩波書店から刊行された。上下2巻の大部である。翻訳時の苦労話は「訳者あとがき」に記したが、翻訳が決まってから出版されるまで4年がかりの一仕事だった。私は船旅の途上にあって、この新刊書を見ていない。4月初め、桜花爛漫のころ手にすることになる。思えば、ラテンアメリカ情勢に取り組んで44年、その間、フィデルは一貫して最高指導者ないし、それに順ずる地位にありつづけてきた。つねにラ米情勢の中心を占め、強迫観念のように私の脳裏を占めていた。その思いを「あとがき」に、「カストロとの長い格闘を終えて」として綴った。

 さて、私が身を置くNGOピースボートは、あす5日、タヒチの首都パペーテに着く。横浜を出航してから1万海里、2週間の無寄港航海だった。

 6日には、ペルーのカヤオ港に向けて新たな10日間の海の長旅に出る。いよいよ向かうは我がラ米であり、船上講師の活動も倍加する。

ではまた、


2011年2月4日、オセアニック号にて、
サルバドール

2011年2月4日金曜日

世界の街道を行く  アルゼンチン編

在京アルゼンチン大使館より、テレビ放送のお知らせをいただきました。
「テレビ朝日 世界の街道を行く アルゼンチン編」です。

放映日:2月1日から2月28日まで土日を除いて20回  20時54分-21時
放送局:テレビ朝日 (地上波は10チャンネル、地上波デジタルは5チャンネル)
番組 : 「世界の街道をゆく!」
番組ウェブサイト: http://www.tv-asahi.co.jp/road/notice/index.html

様々な歴史を刻んできた世界各地の街道を訪れ、そこで出会う人々の営みや自然の魅力的な表情を、スチールとムービーを融合した、新しい表現で映像化していく紀行番組です。

世界第8位という広大な領有面積を誇るアルゼンチン。その国土の25%をパンパと呼ばれる草原が占めています。
しかし、南北にのびるこの国の街道をゆけば、美しい草原だけではなく、沼沢、森林、塩田と、雄大な国が持つ大自然の豊かな表情がどこまでも広がっていきます。 

番組では、首都・ブエノスアイレスから出発し、「母を尋ねて三千里」のマルコ少年が辿ったアンデスに続く道を巡り、トゥクマンまで旅します。北部の世界遺産「ウマワカ渓谷」、サルタ州もご紹介します。
是非、ご覧下さい。

アンデスの染織展

アンデスの染織展のお知らせです。

現在のペルーからボリビア北部にかけて栄えたアンデス文明。織物や編物、染物など多様な染織文化を育んだことで知られる。良質な木綿、リャマやアルパカなどの獣毛に恵まれ、領土各地にあった豊富な染料のおかげだ。鳥や魚といった身近な動物や、独特な表情の神像など豊かな文様表現も見どころの一つ。展示では紀元前1000年に遡るチャビン文化から16世紀のインカ文明まで、2500年にわたる優れたアンデスの染織を紹介している。

会期:2011年1月27日(木)~3月14日(月)
開館時間:10:00~16:30  (2月4日(金)、2月18日(金)は19時まで開館)
*入館は閉館の30分前まで休館日/日曜日・祝日(2月27日は開館)
場所:文化学園服飾博物館(東京・新宿南口)
入館料: 一般500円、大高生300円、小中生200円 
※ギャラリートーク/2月19日(土)、3月5日(土) 各回13:30~(先着30名)

http://www.bunka.ac.jp/museum/text/kaisaichu.html

2011年1月31日月曜日

伊高先生の船上便り(2)

1月30日午前零時、オセアニック号は日付変更線を越えて、再び30日に入り、同日夜、赤道をまたいで南半球に入ります。船上では「日本と同じ1日目の30日」、「2日目の30日」というふうに区別して呼ばれています。ややっこしいですね。まだ1日目の30日ですが、海はかなりの大波で、船は揺れています。

2011年1月29日土曜日

ポルトガル語劇の様子をRadioJapanで!

今日もまだインターネットラジオで聞くことができます!

ぜひ聞いてみてくださいね!

http://www.nhk.or.jp/nhkworld/portuguese/top/index.html

伊高先生の船上便り(1)

伊高先生より船上からのお便りが届きました。
今回の航海中はときどきメールでお手紙をくださることをお約束してくださいました!
ときどきブログを覗いてみてくださいね。

1月23日横浜を出航したピースボート「オセアニック号」は28日、真夏の海域に突入し、早速激しいスコールに見舞われました。明日30日には、日付変更線を越え、同じ30日の始まる地点に入ります。それからさらに南下し、赤道を越えて、ひたすらタヒチに向かいます。船上で、東大の野谷文昭先生の下で比較文学を学んでいるベネスエラ人青年(ボランティア通訳)と会い、ラ米文化などを話し合っています。タヒチまでは核兵器廃絶やヒバクシャ問題が中心ですが、タヒチを出れば、ペルーのカヤオ港を目指す新たな10日間の船旅で、私の船上ラ米講座もいよいよ忙しくなります。では次報まで、

2011年1月29日、
太平洋ミクロネシアからポリネシアに向かう航路上で 伊高浩昭

2011年1月26日水曜日

鶴見のペルー人母たちの会「教育セミナー」のお知らせ

こんにちは。
寒い日が続いていますね。
今年スペイン語上級を担当してくださったアルベルト松本先生からのお知らせです。
ラテンアメリカ講座には在日ラテンアメリカの児童のための仕事、活動をなさっている方も多くいらっしゃると思います。そうした方々に向けての講演のご紹介です。

2月6日(日)、鶴見のペルー人お母さんたちの会(Tsurumi F.C. Menores)が企画している「教育セミナー」です。 在日中南米出身者向けに、専門家によって日本の教育制度やそのしくみ、費用、奨学金、貸付金、高等教育の可能性等をレクチャーすることになっています。 

言語はスペイン語です。

以下、お知らせです。

・・・・・・・

SEMINARIO SOBRE EDUCACION EN JAPON

Dirigido a las familias latinas que tienen sus chicos en las escuelas japonesas y a quienes desean estudiar en Japón, pues abarca también el tema de la educación superior.

Día Domingo, 6 de febrero de 2011. De las 10:00 a 16:00 hrs. Día Completo.
Lugar: OTA KUMIN HALL "APRICO", Tokio, Ota-Ku,Kamata 5-37-3.
Unos minutos caminando de la estación KAMATA JR.
http://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/hall/aprico/index.html

Entrada: Inscripción previa a e-mai: tsurumi_seminario2011@hotmail.com
Costo: 500 yenes por material en CD.

日本の教育についてのセミナーですが、幼稚園から大学までの課程や、そのしくみ、費用、課題、外国人としての、日系ラティーノとしての多文化的、多言語的な要素等も取り上げます。
すべてスペイン語で行うことになっています。ご関心のある方は是非参加ください。
事前に申し込む必要があり、当時参加費500円がかかります(資料費)。

PROGRAMA DE LAS EXPOSICIONES:
10:00 ~ 10:05 Palabras de introducción
10:05 ~ 10:35 Lic. Alberto Matsumoto - El panorama general de los latinoamericanos en Japón y la educación de los hijos
10:35 ~ 10:45 Preguntas al Lic. Matsumoto
10:45 ~ 11:25 Lic. Etsuko Takahashi - Sistema educativo con relación al ingreso al koko y la universidad
11:25 ~ 11:35 Preguntas a la Lic. Takahashi
11:30 ~ 12:10 Lic. Patricia Nakamura - Cómo apoyar como padres a los hijos en su educación desde casa.
12:10 ~ 12:20 Preguntas a la Lic. Nakamura

12:20 ~ 13:20 Horario de almuerzo (1 hora)

13:20 ~ 14:00 Lic. Lidia Sala - El bilinguismo y cómo asumir el reto de criar a hijos bilingues en Japón
14:00 ~ 14:10 Preguntas a la Lic. Sala
14:10 ~ 14:40 Lic. Alberto Matsumoto - El ingreso al "koko" (secundaria superior) y al "semon gakko" (escuela técnica superior)
14:40 ~ 14:50 Preguntas al Lic. Matsumoto
14:50 ~ 15:30 Lic. Akira Uchimura - Becas y préstamos para estudio superior en Japón
15:30 ~ 15:40 Preguntas al Lic. Uchimura
15:40 ~ 16:00 Ronda de preguntas a los expositores

16:00 ~ 16:10 Palabras de cierre a cargo del Ministro Eduardo Gomez-Sanchez Gutti - Cónsul General del Peru en Tokyo

2011年1月22日土曜日

180 South

「世界中で1箇所だけ、どこでもいいから旅行に行って良いよ!」と言われたら、どこに行く?

そんな質問に何も考えずにすぐに答えたのが「パタゴニア」

その手付かずの大自然を感じることができるであろう映画が今日から公開される。

1月22日から2月10日まで 渋谷シネクイント
"180 South"
公式HP
http://www.180south.jp/

2011年1月20日木曜日

ポルトガル語劇上演とNHKラジオインタビュー番組

こんにちは。
またまた間際のお知らせになって、すみません。
今度はラジオ放送のご報告です。

昨年12月18日(土)に行った、ポルトガル語上級クラスの劇上演に際し、NHKRadio Japanのインタビューがありました。その様子が、1月23日にNHK Radio Japan で放送されます。
放送後しばらくの間(1週間くらい?)は、オンデマンドで聞くことができます。

受講生はポルトガル語で、事務局担当は日本語でインタビューに答えました。

http://www.nhk.or.jp/nhkworld/portuguese/top/index.html

2011年1月17日月曜日

講演会「19世紀から現代にいたるメキシコ政治の発展経緯」

在日メキシコ大使館からの講演会のお知らせです。

・公開講演会「19世紀から現代に至るメキシコ政治の発展経緯」 
・講師:ロレンソ・メイエル教授(コレヒオ・デ・メヒコ)

講演者略歴:
米国その他の国々で、スタンフォード大学をはじめ多数の大学で、客員教授を務める。過去には全国紙エクセルシオールで執筆していたが、現在はディアリオ・レフォルマ紙に執筆している。
Instituto Politécnico Nacional大学のテレビ放送OnceTVの番組 プリメール・プラーノにレギュラー出演。メキシコ科学アカデミー研究賞(1974年)とメキシコ・ジャーナリズム全国賞(1989年)を受賞している。刊行著書多数:The Mexican Revolution and the Anglo-American Powers (1985)Su majestad brit$aacute;nica contra la Revolución mexicana, 1900-1950El fin de un imperio informal (1991) The United States and Mexico (1994) Liberalismo autoritario(Josefina Zoraida Vázquezとの共著)Las contradicciones del sistema político mexicano (1995)

■ 会場:在日メキシコ大使館 エスパシオ・メヒカーノ  東京都千代田区永田町2-15-1 メキシコ大使館・別館5階
■ 日時:2011年1月27日(木)18時より      17時半より受付開始
■ 言語:西日同時通訳あり      2011年1月24日までに、添付の回答用紙を記入の上、e-mailまたはFAXで出欠の返信をしてください。

● 問い合わせ先:メキシコ大使館 学術交流・教育・国際協力部      
Fax 03-3581-4058  
e-mail:infojpn■sre.gob.mx(■の部分を@に変えて送信してください)

2011年1月8日土曜日

メキシコ革命の100 年:歴史的総括と現代的意義

メキシコ革命に関する講演会とシンポジウムのお知らせです。
上智大学イベロアメリカ研究所の主催です。詳細は下記のとおり。

・ Venustiano Carranza y la Revolución Mexicanaカランサとメキシコ革命
講 師: ルイス・バロン氏 (メキシコ・経済研究教育センター(CIDE)教授)
Conferencista: Dr. Luis Barrón(Centro de Investigación y Docencia Económicas, México)
日 時: 2011 年1 月13 日(木)午後5 時30 分~7 時30 分
Fecha: Jueves, 13 de enero, 5:30 p.m. – 7:30 p.m.
場 所: 上智大学中央図書館9 階911 会議室
Lugar: Sala 911 (Piso 9), Edificio de la Biblioteca Central
使用言語: スペイン語(日本語による要約配布)
Idioma: En español参加費無料/予約不要・Entrada libre

・メキシコ革命の100 年:歴史的総括と現代的意義
La Revolución Mexicana:Reevaluación sobre su significado histórico en elmarco de su primer centenario
基調講演 : ルイス・バロン教授 (メキシコ・経済研究教育センター(CIDE))
パネリスト: 岸川 毅(本学外国語学部教授、本研究所所員)谷 洋之(本学外国語学部教授、本研究所所員)箕輪 茂(本研究所共同研究所員)
司会: 堀坂浩太郎(本学名誉教授、本研究所前所長)
日 時: 2011 年1 月15 日(土)午後1 時30 分~5 時30 分
Fecha: Sábado, 15 de enero, 1:30 p.m. – 5:30 p.m.
場 所: 上智大学中央図書館9 階911 会議室
Lugar: Sala 911 (Piso 9), Edificio de la Biblioteca Central
使用言語: 日本語・スペイン語(日西同時通訳)
Idioma: En japonés y español con traducción simultánea
参加費無料/予約不要・Entrada libre

上智大学イベロアメリカ研究所のHPはこちら
http://www.info.sophia.ac.jp/ibero/

どちらもスペイン語で行われます。
メキシコ革命に興味のある方には、オススメのシンポジウムです。

¡Feliz Año Nuevo!


¡Feliz año nuevo!

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

本日から講座が再開いたしました。とはいっても、年間予定表上では土曜日の授業は今日で最終回。
本日は、ラテンアメリカ論IとIIが本年度最終回でした。

本日が新年会だったクラスもある様子。 来週が最終回となるクラスは、来週に打ち上げをやる様子・・

今年もなんとか無事に終わりそうで、嬉しいことです。
(新型インフルエンザもノロウイルスもなかったし・・)

今年の最終日もアンケートにご協力いただきありがとうございました。

HPやブログへも温かい励ましのお言葉をいただけたので、今年こそきちんと情報発信するぞ!と意気込んでブログを開けてみたものの・・なんと、11月から更新していない!

これでは誰も見てくれなくなりますね・・と深く反省した次第です。

今年こそ、少しでもよいものにしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

ラテンアメリカ研究所事務局