2024年3月2日土曜日

映画『火の娘たち』『ヴィタリナ』

「火の娘たち」は、3つに分割された画面に一人ずつ異なる女性が映し出される、チェーホフの「三人姉妹」から着想を得た物語。火山のマグマが迫る各々の場所で彼女たちは孤独や苦難、仕事の苦労、そして不屈の精神について歌う。美しいながらも煉獄のようなその場所で、まるで賛美歌のような幽玄な音楽が奏でられる、異形のミュージカル映画。

第72回ロカルノ国際映画祭金豹賞&女優賞をダブル受賞した「ヴィタリナ」は、カーボ・ヴェルデからリスボンにやってきたひとりの女性の姿を描き、ヴィタリナ・ヴァレラが自身の名前と同じ主人公を演じた。出稼ぎに行った夫がいつか自分を呼び寄せてくれると信じて待ち続けていた女性の物語。実は夫は死去し、すでに埋葬されていた。彼女は亡き夫の痕跡を探すかのように、移民たちが暮らす街にある、夫が住んだ部屋に留まる決意し。その部屋の暗がりで自らの波乱に満ちた人生を語り始める。

『火の娘たち』2023年/8分/ポルトガル

『ヴィタリナ』2019年製作/130分/ポルトガル

監督:ペドロ・コスタ