群馬県立近代美術館
2025/3/1(土)~4/6(日)
開館時間:午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
メキシコ、グアダラハラを拠点に活動するアーティスト、ホセ・ダヴィラ(1974-)は、 金属やガラス、玉石などの身近な素材を絶妙な均衡で組み合わせる立体作品や、20世紀 のアーティストや建築家の作品を引用、考察した作品で知られています。
ダヴィラは2010年代から、抽象美術を代表するアーティストのひとりであるジョゼフ・アルバース(1888-1976)のシリーズ「正方形讃歌」を題材とした作品を繰り返 し制作しています。アルバースが正方形を重ねることで絵画の画面上で配色実験を繰り広げたのに対して、ダヴィラは金属やセラミックなどを用いて、時間や 光によって変化する立体作品に発展させています。
ダヴィラにとって日本の美術館における初の本格的な展覧会となる本展では、ダヴィラの作品と、アルバースの「正方形讃歌」シリーズの作品を合わせて展示し、時代を超えて人々を惹きつけるアルバースの形と色彩に対する探求、そして、美術史と対話することで新たな芸術を生み出すダヴィラの挑戦をご覧いただきます。
「私は目を閉じて見るほうがいい」というタイトルは、アルバースがインタビューに答え、「私にとって、抽象は現実だ。たぶん自然より現実だ。・・・抽象は私の心の近くにある。私は目を閉じて見るほうがいい。(註)」と語った言葉から取られています。
この言葉から着想された本展は、ダヴィラ自身が会場デザインを手がけ、展示そのものがアルバースへのオマージュとなっています。また、建築家磯崎新(1931-2022)が立方体をモチーフにデザインした建築空間とも共鳴することでしょう。アーティストたちの時を超えた出会いをご堪能ください。
(註)キャサリン・キュー『アーティストの声:17人のアーティストとの会話』1962年(ニューヨーク)より