2008年8月14日木曜日

ボリビア情勢(伊高先生からのお便り)

伊高先生からは前回で最後のお便りの予定でしたが、番外編としてもうひとつお便りが届きました。

秋からの授業が楽しみですね。

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ボリビア情勢について短く寄稿します。これで全4本となり、打ち止めです。

ボリビアからのインターネット情報によると、同国で8月10日実施された、大統領と9州全知事の罷免の是非を問う国民投票で、エボ・モラレス大統領、および同大統領の新憲法制定政策に反対するサンタクルス州など諸州の知事は、そろって信任された。

その結果、政情は、大統領支持派と反対派の力関係が国民投票前とほとんど変わらないまま、緊張状態が続く見通しとなった。

大統領が次に目指すのは、農地改革の前段階としての大土地所有制の規模(面積)を決定する国民投票と、決定されたその規模を盛り込んだ新憲法の承認の是非を問う国民投票だが、賛否両派の力関係が拮抗しつつあるため、成り行きを予測するのは難しい。

問題の本質は、「コロンブス到着以来516年」.の間に失われた先住民族の権利の「奪回」を巡る歴史的な闘争にある。

過去を奪われた先住民族が、過去を復活させて未来に向かうために、先住民族中心の新しいボリビアを建国するというのが、モラレスの思想だ。

新憲法が公布されれば、ボリビアにとどまらず、ラ米全域、さらには植民地支配に苦しんだ世界各地の国々に影響が及ぶはずだ。

それだけに、既得利権にしがみつきたい伝統的支配層は、「旧秩序」を死守するため必死なのだ。

ボリビア情勢は、このような世界史的意味をもつ。じっくりとフォローしていきたい。


080813 
米国沖を航行中のPB船上にて

サルバドール